「B型事業所が遠くて通所が大きな負担になっている」「片道1時間以上かかり疲れ果てる」「もっと近い場所があればいいのに」
就労継続支援B型を利用したい、または現在利用しているものの、事業所が遠すぎることで悩んでいる方は少なくありません。
特に地方や郊外では、選択肢が限られており、自宅から遠い事業所しかないケースがあります。通所距離が遠いと、移動時間、交通費、体力的負担、精神的ストレスなど、様々な問題が生じます。
本来、作業や社会参加のために通うはずが、通所すること自体が目的になってしまい、本末転倒な状況に陥ることもあります。
本記事では、B型事業所が遠い場合の問題点、通所負担を軽減する方法、より近い事業所を見つける方法、通所困難な場合の代替手段、そして自分に合った選択をするための判断基準について詳しく解説していきます。
B型事業所が「遠い」とは
まず、どの程度の距離が「遠い」と言えるのか、一般的な基準を確認しましょう。
距離・時間の目安
一般的な「遠い」の基準
- 片道1時間以上 かなり遠い
- 片道45分〜1時間 遠い
- 片道30〜45分 やや遠い
- 片道30分以内 許容範囲内(個人差あり)
- 片道15分以内 理想的
ただし、これは目安であり、個人の体力や障害の特性によって、許容範囲は大きく異なります。
距離だけでなく「負担」が問題
同じ距離でも負担が異なる
- 乗り換えの回数 乗り換えが多いほど負担が大きい
- 混雑度 通勤ラッシュ時の満員電車は非常に負担
- 交通手段 電車、バス、徒歩、自転車など
- 天候の影響 雨や雪の日の通所
- 坂道や階段 身体的負担
- 本人の体力・障害特性 同じ距離でも人によって負担が全く異なる
事業所が遠い場合の問題点
事業所が遠いことで、どのような問題が生じるのでしょうか。
1. 体力的な負担
移動だけで疲弊する
- 片道1時間の通所は、往復2時間
- 作業をする前に疲れてしまう
- 帰宅後は動けないほど疲労
- 体力が続かず、欠席が増える
本来、作業のために体力を使うべきなのに、移動だけで消耗してしまいます。
2. 時間的な負担
1日の大部分が通所に消える
例 事業所での作業時間が4時間、移動時間が往復2時間の場合、
- 準備・移動・作業・移動・帰宅で6〜7時間
- 実際の作業時間より移動時間の割合が大きい
- 他のことをする時間がない
3. 経済的な負担
交通費がかさむ
- 電車・バスの運賃
- 往復すると数百円〜千円以上
- 月に換算すると数千円〜数万円
- B型の工賃(月平均約16,000円)では賄えない
- 交通費助成がない場合、実質的に赤字になる
4. 精神的な負担
通所自体がストレス
- 満員電車の苦痛(発達特性や精神障害がある場合、特に辛い)
- 迷わず行けるか不安
- 遅刻への恐怖
- 天候不良時の不安
- 毎日通所を考えるだけで憂鬱
5. 継続の困難さ
長続きしない
遠い事業所への通所は、継続が困難です。
- 最初は頑張れても、だんだん辛くなる
- 欠席が増える
- 最終的に辞めてしまう
6. 緊急時の対応
体調不良時に困る
- 作業中に体調が悪くなっても、帰宅に時間がかかる
- 遅刻・早退しにくい
- 緊急時に家族が迎えに来られない
7. 天候による影響
悪天候時のリスク
- 雨や雪の日は通所が非常に困難
- 自転車や徒歩で通っている場合、危険
- 天候不良時の欠席が増える
8. 選択肢の限定
「遠くても行くしかない」状態
近くに事業所がないため、
- 遠くても我慢するしかない
- 他の選択肢を検討できない
- 不満があっても変えられない
通所負担を軽減する方法
事業所が遠い場合でも、負担を軽減する方法があります。
1. 通所日数・時間を調整する
無理のない範囲に減らす
- 週5日→週2〜3日に減らす
- 1日の時間を短くする(午前のみ、午後のみ)
- 通所の負担を考慮して、無理のないペースに調整
事業所や相談支援専門員に相談して、調整を依頼します。
2. 交通費助成を活用する
経済的負担を軽減
障害者の交通費助成制度
- 自治体によって、障害者の交通費助成制度がある
- 割引パス、回数券の助成、定期券の助成など
- 市区町村の障害福祉課に確認
B型事業所からの交通費補助
- 一部の事業所は、交通費を補助してくれる
- 事業所に確認
障害者割引
- 電車・バスの障害者割引(手帳提示で半額など)
- タクシーの障害者割引
3. 通勤手段を見直す
より負担の少ない手段に変える
- 電車→バス 乗り換えが少ない
- 公共交通機関→自転車 自分のペースで移動
- 自転車→電動アシスト自転車 体力的に楽
- 徒歩→バス 体力温存
- タクシーの利用(経済的に可能なら)
送迎サービス
- 一部のB型事業所は、送迎サービスを提供している
- 事業所に確認
4. 移動時間の過ごし方を工夫
移動時間を無駄にしない
移動時間を苦痛と捉えるのではなく、有効活用する工夫も有効です。
- 音楽を聴く
- オーディオブックを聴く
- 瞑想・マインドフルネス
- 景色を眺める
- スマホゲーム(疲れない範囲で)
ただし、これはあくまで対症療法です。
5. 通所ルートを最適化する
最短・最楽なルートを見つける
- 複数のルートを試す
- 混雑を避ける時間帯に移動
- 座れる電車・バスを選ぶ(始発駅から乗るなど)
6. 休憩を多めに取る
無理をしない
- 通所後、すぐに作業を始めず休憩
- 作業中も疲れたら休憩を申し出る
- 帰宅後はしっかり休む
7. 事業所に相談する
配慮を求める
通所距離が遠いことを事業所に伝え、
- 遅刻への配慮
- 悪天候時の欠席への理解
- 通所日数・時間の調整
配慮を求めます。
より近い事業所を見つける方法
根本的な解決は、より近い事業所を見つけることです。
1. 相談支援専門員に相談する
他の選択肢を探してもらう
相談支援専門員に、
- 「通所距離が遠くて負担が大きい」
- 「もっと近い事業所はないか」
と相談します。相談支援専門員は、地域の事業所情報を持っています。
2. 市区町村の障害福祉課に問い合わせる
地域の事業所リストを入手
市区町村の障害福祉課で、B型事業所のリストをもらえます。
- 自宅から近い順に並べる
- 見学の予約をする
3. インターネットで検索する
「地域名+就労継続支援B型」で検索
- Googleマップで「就労継続支援B型」と検索すると、近くの事業所が表示される
- 事業所のWebサイトを確認
- 口コミや評判も参考に
4. 複数の事業所を見学する
比較検討する
- 近さだけでなく、雰囲気、作業内容、職員の対応も確認
- 近くても合わない事業所より、少し遠くても合う事業所の方が良いこともある
バランスを考えて選びます。
5. 新規開設の事業所を探す
新しい事業所
B型事業所は、毎年新規開設されています。以前はなかった場所に、新しい事業所ができている可能性があります。
6. 隣接自治体の事業所も検討する
自治体をまたぐ
自分の住んでいる自治体だけでなく、隣接する自治体の事業所も利用できます(受給者証があれば、全国どこでも利用可能)。
注意点 交通費助成が自治体外には適用されないことがあるので、確認が必要です。
7. 事業所の移転・新規開設情報をチェック
定期的に確認
- 相談支援専門員に定期的に確認
- 自治体の広報
- 福祉関連のニュース
通所困難な場合の代替手段
どうしても通所が困難な場合、B型以外の選択肢も検討します。
1. 在宅就労型のB型
在宅で作業するB型
一部のB型事業所は、在宅での作業を認めています。
特徴
- 自宅で作業
- 定期的に事業所に行く(週1回など)
- 作業物の受け渡し
探し方
- 相談支援専門員に「在宅型のB型はないか」と聞く
- 「在宅 就労継続支援B型」で検索
ただし、数は限られています。
2. 地域活動支援センター
より近くにあることが多い
地域活動支援センターは、B型よりも小規模で、地域に密着していることが多いです。
特徴
- B型より自由度が高い
- 居場所機能が強い
- 通所頻度も柔軟
近くにないか、相談支援専門員に聞いてみます。
3. 生活訓練(自立訓練)
訪問型もある
生活訓練には、訪問型のサービスもあります。職員が自宅に来てくれます。
4. 訪問型の障害福祉サービス
自宅で受けられるサービス
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 訪問看護
- 相談支援(訪問)
通所が困難な場合、訪問型のサービスで生活を支えます。
5. オンラインでのつながり
在宅でもつながる
- オンラインのピアサポートグループ
- オンラインの当事者会
- オンライン学習
物理的に通所できなくても、オンラインで社会とつながることができます。
6. 在宅ワーク
自宅で働く
- クラウドソーシング(クラウドワークス、ランサーズなど)
- データ入力
- ライティング
- デザイン
B型ではありませんが、在宅で収入を得る方法です。
7. 引っ越しを検討する
最終手段
事業所に近い場所に引っ越すことも、最終的な選択肢です。ただし、家賃、環境の変化など、様々な要素を考慮する必要があります。
判断基準 遠い事業所を続けるべきか、辞めるべきか
遠い事業所に通い続けるべきか、それとも辞めて別の選択をすべきか、判断基準を示します。
続けた方が良い場合
以下に当てはまる場合、工夫しながら続ける
- 事業所の内容や雰囲気が非常に自分に合っている
- 職員や仲間との関係が良好で、居場所になっている
- 通所負担はあるが、それを上回る価値を感じている
- 通所日数や時間の調整で、負担を軽減できそう
- 近くに他の選択肢がない
- 近い将来、引っ越しや事業所の移転がある
辞めるべき、または変更を検討すべき場合
以下に当てはまる場合、別の選択を検討
- 通所だけで疲れ果て、作業どころではない
- 体調を崩している(頭痛、吐き気、疲労など)
- 通所のストレスで精神状態が悪化している
- 交通費が経済的に大きな負担になっている
- 欠席が増え、継続が困難になっている
- 事業所自体にも不満がある(遠いだけでなく)
- より近い代替手段がある
判断のポイント
天秤にかける
- 【通所の負担】 vs 【事業所から得られる価値】
この天秤で、負担の方が重い場合は、変更を検討すべきです。
相談・交渉のポイント
事業所や相談支援専門員に相談・交渉する際のポイントです。
1. 具体的に伝える
曖昧にしない
- 「遠い」だけでなく、「片道〇分、乗り換え〇回」と具体的に
- 「疲れる」だけでなく、「帰宅後動けない」「翌日に影響」など具体的に
- 「交通費が〇円かかり、工賃では賄えない」など数字で
2. 希望を明確にする
どうしたいのかを伝える
- 「通所日数を減らしたい」
- 「もっと近い事業所を探したい」
- 「送迎サービスは利用できないか」
3. 医師の意見書を活用する
客観的な根拠
主治医に、「通所距離が負担になっている」ことを相談し、意見書を書いてもらうことで、説得力が増します。
4. 記録を残す
言った言わないを避ける
相談内容と回答を記録に残します。可能なら、メールや書面で。
5. 粘り強く交渉する
一度で諦めない
一度断られても、再度相談したり、別の提案をしたりすることで、解決策が見つかることがあります。
まとめ
就労継続支援B型の事業所が遠すぎることは、体力的、時間的、経済的、精神的に大きな負担となり、継続を困難にします。通所距離が片道1時間以上になると、かなりの負担であり、作業よりも移動に多くのエネルギーを消費してしまいます。
負担を軽減する方法として、通所日数・時間の調整、交通費助成の活用、通勤手段の見直し、移動時間の工夫などがあります。しかし、根本的な解決は、より近い事業所を見つけることです。相談支援専門員、市区町村の障害福祉課、インターネット検索などを活用し、複数の事業所を見学・比較検討することが重要です。
どうしても通所が困難な場合は、在宅就労型のB型、地域活動支援センター、訪問型サービス、在宅ワークなど、B型以外の選択肢も検討します。
通所の負担と事業所から得られる価値を天秤にかけ、負担の方が重い場合は、変更を検討すべきです。自分の健康と生活を最優先に、無理のない選択をしてください。
事業所が遠いという理由だけで我慢し続ける必要はありません。あなたには、自分に合った、無理のない環境で、社会参加や就労訓練を行う権利があります。
相談支援専門員や事業所と積極的にコミュニケーションを取り、自分の状況を伝え、最適な解決策を一緒に探していきましょう。
あなたの健康と幸せが、何よりも大切です。無理をせず、自分に合った選択をしてください。

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