メニエール病とは。回転性めまいと難聴を繰り返す内耳の病気

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メニエール病は、激しい回転性めまい発作、難聴、耳鳴り、耳閉感を繰り返す内耳の病気です。突然グルグル回るようなめまいに襲われ、吐き気や嘔吐を伴い、聞こえにくくなります。

めまいは数十分から数時間続き、発作を繰り返すたびに聴力が徐々に低下していく可能性があります。

内耳のリンパ液が増えすぎる内リンパ水腫が原因と考えられていますが、なぜ水腫が起こるのか完全には解明されていません。

ストレス、睡眠不足、疲労などが発作の引き金になることが多く、30代から50代の働き盛りの世代に多く見られます。適切な治療と生活習慣の改善により症状をコントロールできる病気です。

この記事ではメニエール病の症状、原因、診断、治療、予防法について詳しく解説します。

メニエール病とは

定義

メニエール病は、内耳の内リンパ液が増えすぎること(内リンパ水腫)により、回転性めまい発作、難聴、耳鳴り、耳閉感を繰り返す疾患です。フランスの医師プロスペル・メニエールが1861年に初めて報告したため、この名前がつきました。

発症率

日本では人口10万人あたり約15人から20人の有病率と推定されています。決して珍しい病気ではありません。

好発年齢

30代から50代に多く発症します。働き盛りの世代に多いです。女性にやや多い傾向があります。

片側性が多い

初期は片耳だけに症状が現れることが多いです。しかし経過とともに両側に及ぶこともあります(約30から40パーセント)。

メニエール病の症状

主要症状(三徴候)

回転性めまい発作
グルグル回る激しいめまい。自分や周囲が回転しているように感じる。立っていられない、動けない。吐き気、嘔吐を伴うことが多い。発作は突然始まり、数十分から数時間(多くは2から3時間)続く。その後徐々に治まる。めまいがない時期は全く症状がない。

難聴(変動する低音域の聴力低下)
発作時に聞こえにくくなる。特に低い音が聞こえにくい。発作が治まると聴力が回復することもある。しかし発作を繰り返すうちに徐々に聴力が低下し、回復しにくくなる。

耳鳴り
ゴー、ザー、キーンなどの音が聞こえる。発作前に強くなることがある。発作の前兆となることもある。

耳閉感(耳が詰まった感じ)
耳が塞がったような感じ。水が入ったような感じ。圧迫感。

発作の特徴

突然の発症
予告なく突然めまいが始まることが多い。ただし耳鳴りや耳閉感が前兆となることもある。

激しさ
立っていられない、動けない、嘔吐するほど激しい。

持続時間
数十分から数時間。多くは2から3時間で徐々に治まる。一日中続くことはまれ。

回復
発作後は疲労感が残るが、めまい自体は治まる。

反復性
発作を繰り返す。頻度は人により異なる(週に何度も起こる人から、年に数回の人まで)。

随伴症状

吐き気・嘔吐
めまいに伴って強い吐き気、嘔吐。

冷や汗
発作時に冷や汗をかく。

動悸
心臓がドキドキする。

顔面蒼白
顔色が悪くなる。

不安・恐怖
発作への不安、恐怖感。また発作が起こるのではないかという予期不安。

進行による変化

初期
めまいが主症状。聴力低下は軽度で回復する。

中期
めまい発作が続く。聴力低下が進行し、回復しにくくなる。

後期
めまい発作は減少することがある。しかし聴力低下は固定化し、難聴が残る。平衡感覚の障害が残ることもある。

メニエール病の原因

内リンパ水腫

メニエール病の直接的な原因は内耳の内リンパ液が増えすぎること(内リンパ水腫)です。内耳には内リンパ液と外リンパ液という2種類の液体があります。内リンパ液が過剰に増えると、内耳の膜が膨らみ、最終的に破れたり圧力が高まったりすることで、めまいや難聴が起こると考えられています。

なぜ内リンパ水腫が起こるのか

内リンパ水腫がなぜ起こるのか、完全には解明されていません。以下の要因が関与すると考えられています。

内リンパ液の産生と吸収のバランス異常
内リンパ液は産生と吸収のバランスで一定に保たれています。産生過剰または吸収不良によりバランスが崩れる。

内リンパ嚢の機能不全
内リンパ液を吸収する内リンパ嚢の働きが悪い。

誘因・危険因子

ストレス
精神的ストレス、肉体的ストレスが最も重要な誘因。仕事のストレス、人間関係、過労など。ストレスが交感神経を興奮させ、内耳の血流を悪化させる。

睡眠不足
睡眠不足、不規則な生活リズム。

疲労
過労、慢性的な疲れ。

気圧の変化
低気圧、台風、天候の変化。気圧変化が内耳に影響。

水分・塩分の摂取過多
塩分の取りすぎ。水分の偏った摂取。

アレルギー
アレルギー体質との関連が指摘されている。

自己免疫
自己免疫反応が関与する可能性。

ウイルス感染
ウイルス感染が引き金になる可能性。

遺伝的素因
家族内発症があることから遺伝的要因も関与する可能性。

性格傾向
几帳面、完璧主義、神経質な性格傾向の人に多いとされる。

メニエール病の診断

診断基準

日本めまい平衡医学会による診断基準(2017年改訂)があります。

確実例
以下の条件をすべて満たす。

  1. めまい発作を反復する
  2. めまい発作に伴って、難聴、耳鳴、耳閉感のうち1つ以上の聴覚症状が変動する
  3. 他の疾患を除外できる

疑い例
確実例の条件を一部満たすが、全ては満たさない。

診断のプロセス

問診
症状の詳細な聴取。めまいの性状、持続時間、随伴症状、発作の頻度、聴覚症状の有無、既往歴、家族歴など。

聴力検査(純音聴力検査)
聴力を測定。低音域の変動する難聴が特徴。発作時と発作間欠期で聴力が変動する。

眼振検査
めまい発作時には眼球が揺れる(眼振)が見られる。

平衡機能検査
平衡感覚を評価。重心動揺検査など。

グリセロール試験
グリセロールという薬を飲んで、聴力が改善するかを見る検査。内リンパ水腫を間接的に確認。

画像検査(MRI)
脳腫瘍や脳血管障害など他の疾患を除外するために行う。造影MRIで内リンパ水腫を直接確認できる技術も開発されている。

他疾患の除外
良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、突発性難聴、聴神経腫瘍など他の疾患を除外する。

メニエール病と似た疾患

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

特徴
頭の位置を変えたときに短時間(数秒から数十秒)のめまいが起こる。耳鳴りや難聴は伴わない。メニエール病より持続時間が短い。

前庭神経炎

特徴
突然激しいめまいが起こり、数日続く。難聴は伴わない。めまいは一度きりで反復しない。

突発性難聴

特徴
突然片耳の聴力が低下。めまいを伴うこともあるが、反復しない。

聴神経腫瘍

特徴
ゆっくり進行する難聴、耳鳴り。めまいは軽度。MRIで腫瘍が確認できる。

遅発性内リンパ水腫

特徴
過去に難聴があった耳に、年月を経てからめまいが出現。メニエール病に似ているが経過が異なる。

メニエール病の治療

メニエール病は完治が難しい病気ですが、適切な治療により症状をコントロールし、発作の頻度を減らし、聴力の悪化を防ぐことができます。

薬物療法

急性期(発作時)の治療
めまいを抑える薬、吐き気止め、点滴などで症状を和らげる。

  • 抗めまい薬: ベタヒスチンメシル酸塩など
  • 制吐薬: 吐き気を抑える
  • 鎮静薬: 不安を和らげる
  • 点滴: 脱水を防ぐ、循環改善

慢性期(発作予防)の治療
発作を起こりにくくする薬を継続的に服用。

  • 利尿薬: イソソルビド、アセタゾラミドなど。内リンパ液を減らす。最も重要な薬。
  • 循環改善薬: 内耳の血流を改善。ベタヒスチンメシル酸塩、アデノシン三リン酸など。
  • ビタミン剤: ビタミンB12など。神経機能の改善。
  • 抗不安薬: ストレスを和らげる。発作の予期不安を軽減。

生活習慣の改善(最も重要)

薬物療法と同等またはそれ以上に重要です。

ストレス管理
ストレスを減らす、リラクゼーション、趣味の時間、適度な休息。

十分な睡眠
規則正しい睡眠、7から8時間の睡眠時間、睡眠の質を高める。

過労を避ける
無理をしない、適度に休む、仕事量を調整。

塩分制限
1日6グラム以下に減塩。加工食品、インスタント食品を控える。

水分摂取
適量の水分を摂る。極端な水分制限は不要。一度に大量に飲まず、こまめに摂取。

カフェイン・アルコール・タバコを控える
これらは内耳の血流を悪化させる可能性がある。

規則正しい生活
生活リズムを整える。食事時間、就寝時間を一定に。

適度な運動
ウォーキング、ストレッチなど軽い運動。激しい運動は避ける。

心理的サポート

カウンセリング
発作への不安、恐怖を和らげる。ストレス対処法を学ぶ。

認知行動療法
不安や恐怖を軽減する心理療法。

リラクゼーション
深呼吸、瞑想、ヨガなど。

中耳加圧療法

外部から中耳に圧力をかけて内リンパ水腫を軽減する治療法。専用の機器を使用。保険適用あり。

手術療法

薬物療法や生活指導で改善しない難治例に対して検討されます。

内リンパ嚢開放術
内リンパ嚢を開放して内リンパ液の吸収を促進する。聴力を温存しながらめまいを軽減する目的。

前庭神経切断術
めまいの原因となる前庭神経を切断。めまいは消失するが聴力は温存される。

迷路破壊術
内耳の機能を完全に失わせる。めまいは消失するが聴力も失われる。最終手段。

リハビリテーション

前庭リハビリテーション
平衡機能を改善する訓練。めまいの軽減、バランス能力の向上。理学療法士の指導のもとで行う。

メニエール病との付き合い方

発作時の対処

安全な場所で安静にする
発作が起きたらすぐに座る、横になる。転倒を防ぐ。

楽な姿勢をとる
横向きに寝る、めまいが軽い姿勢を探す。

目を閉じる
視覚情報を遮断するとめまいが軽減することがある。

吐き気がある場合
吐き気止めを服用。横向きに寝て嘔吐物が気道に入らないようにする。

水分補給
嘔吐による脱水を防ぐ。少しずつ水分を摂る。

無理に動かない
めまいが治まるまで安静にする。無理に動くと悪化する。

家族や周囲に連絡
一人でいる時は助けを呼ぶ。

発作の予防

前兆に気づく
耳鳴りの増強、耳閉感などの前兆があれば早めに対処。薬を飲む、休む。

トリガーを避ける
自分の発作のきっかけ(ストレス、睡眠不足、気圧変化など)を把握し、避ける。

規則正しい生活
生活リズムを整える。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動。

ストレス管理
ストレスを溜めない。リラックスする時間を持つ。

塩分制限
減塩を心がける。

薬の継続
予防薬を医師の指示通り継続して服用。

日常生活の注意点

運転
発作が頻繁な時期は運転を控える。運転中の発作は非常に危険。

高所作業
発作時に転落の危険がある作業は避ける。

一人での入浴
発作時に溺れる危険。家族がいる時に入浴、シャワーの方が安全。

外出
発作が心配でも引きこもらない。外出時は薬を携帯。座れる場所を確認。

職場や学校への説明
必要に応じて病気を説明。理解と配慮を求める。

緊急連絡先
家族、かかりつけ医の連絡先を携帯。

心理的ケア

不安との向き合い
いつまた発作が起こるか不安になるのは自然。過度に心配しすぎないよう心がける。

孤立しない
病気のことを信頼できる人に話す。患者会などで同じ悩みを持つ人と交流。

前向きに
適切な治療と生活管理で症状をコントロールできる。過度に悲観しない。

自分を責めない
病気は自分のせいではない。自分を責めない。

予後

症状の変化

発作の変化
適切な治療により発作の頻度は減少することが多い。経過とともに自然に発作が減ることもある。

聴力の変化
初期に適切な治療を開始すれば聴力低下を最小限に抑えられる。しかし発作を繰り返すと徐々に聴力が低下し、固定化することがある。完全に失聴することはまれ。

長期経過
多くの人は数年から十数年で発作が落ち着く。しかし聴力低下や平衡障害が残ることがある。

予後を良くするために

早期診断・早期治療
症状が出たら早めに受診。早期治療で聴力低下を防ぐ。

治療の継続
薬を勝手にやめない。定期的に受診。

生活習慣の改善
ストレス管理、十分な睡眠、減塩など生活習慣の改善を続ける。

定期的なフォローアップ
定期的に聴力検査を受け、聴力の変化をチェック。

社会的支援

難聴が進行した場合

補聴器
聴力低下が進んだ場合は補聴器の使用を検討。

身体障害者手帳
一定以上の難聴がある場合、身体障害者手帳の申請が可能。福祉サービスや税制優遇が受けられる。

人工内耳
高度難聴の場合、人工内耳の適応となることもある。

就労支援

産業医との相談
職場の産業医に相談。業務内容の調整、配置転換など。

障害者雇用
難聴が進行した場合、障害者雇用制度の利用も検討。

患者会・サポートグループ

同じ病気を持つ人との交流。情報交換、励まし合い。孤独感の軽減。

メニエール病に関する誤解

誤解1: ストレスだけが原因

正しい理解
ストレスは重要な誘因だが、それだけが原因ではない。内リンパ水腫という病態がある。気持ちの持ちようだけでは治らない。

誤解2: 気のせい

正しい理解
メニエール病は内耳の病気で、気のせいではない。医学的に確立された疾患。

誤解3: 完治する病気

正しい理解
完治は難しいが、適切な治療で症状をコントロールできる。発作を減らし、聴力低下を最小限にできる。

誤解4: すぐに失聴する

正しい理解
適切な治療を受ければ、完全に失聴することはまれ。早期治療が重要。

誤解5: 高齢者の病気

正しい理解
30代から50代の働き盛りに多い。決して高齢者だけの病気ではない。

まとめ

メニエール病は内耳の内リンパ液が増えすぎること(内リンパ水腫)により、回転性めまい発作、難聴、耳鳴り、耳閉感を繰り返す疾患です。突然グルグル回るめまいに襲われ、吐き気や嘔吐を伴い、数時間続きます。

30代から50代の働き盛りに多く、ストレス、睡眠不足、疲労、気圧変化などが発作の引き金になります。几帳面で完璧主義な性格の人に多い傾向があります。

診断は問診、聴力検査、平衡機能検査などで行われます。低音域の変動する難聴が特徴です。他の疾患(良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎など)との鑑別が重要です。

治療は薬物療法(利尿薬、循環改善薬など)と生活習慣の改善が中心です。ストレス管理、十分な睡眠、減塩、規則正しい生活が非常に重要です。難治例では手術療法も検討されます。

発作時は安全な場所で安静にします。発作を予防するために前兆に気づき、トリガーを避け、薬を継続します。運転や高所作業には注意が必要です。

メニエール病は完治が難しい病気ですが、適切な治療と生活管理により症状をコントロールでき、多くの人は数年から十数年で発作が落ち着きます。早期診断・早期治療が聴力を守るために重要です。

めまいや難聴の症状があれば、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。一人で抱え込まず、医師や家族、患者会などのサポートを受けながら、病気と上手に付き合っていきましょう。適切な対処により、より良い生活を送ることができます。

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