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発達障害のグレーゾーンという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。しかしグレーゾーンと発達障害はどう違うのか、グレーゾーンだと診断名はつかないのか、支援は受けられないのかという疑問を持っている人も多くいます。この記事では、グレーゾーンと発達障害の違いと、グレーゾーンにある人への支援のあり方について解説します。
グレーゾーンという言葉の意味
グレーゾーンとは、発達障害の診断基準を一部満たしているものの、診断基準の全てを満たすには至らない状態を指す言葉です。医学的に正式に定義された診断名ではなく、日常的に使われる表現です。
発達障害の診断は、特定の行動や特性が一定の基準を満たしているかどうかによって行われます。この基準を完全に満たせば診断がつき、満たさなければ診断はつきません。しかし人間の特性は連続的なものであり、診断基準のすぐ下に位置するような状態の人も多く存在します。こうした状態がグレーゾーンと呼ばれます。
グレーゾーンという言葉は、発達障害かそうでないかという二分法では捉えきれない現実を表しています。
発達障害の診断基準とは
発達障害の診断は、国際的な診断基準であるDSM-5やICD-11に基づいて行われます。これらの基準では、特定の特性や行動パターンが、一定の数以上かつ一定の期間以上あらわれており、日常生活や社会生活に著しい支障をきたしていることが診断の要件となっています。
たとえばADHDの診断では、不注意の症状が九項目のうち六項目以上、または多動衝動性の症状が九項目のうち六項目以上あることが成人未満の場合の基準のひとつとなっています。
グレーゾーンの場合は、症状の数が基準に届かない、または症状はあるものの日常生活への影響が診断基準が求める著しい支障のレベルには達していないという状態であることが多くあります。
グレーゾーンと発達障害の主な違い
診断名の有無
最も明確な違いは診断名の有無です。発達障害と診断された場合は、ADHD、ASD、LDといった診断名がつきます。グレーゾーンの場合は診断基準を完全には満たさないため、正式な診断名はつきません。
ただし診断名がつかないことは、困難や生きづらさがないことを意味するわけではありません。グレーゾーンにある人も、発達障害と診断された人と同様の困難を日常生活で経験していることがあります。
利用できる支援の範囲
日本では一部の支援や制度が、診断名がついていることを条件としているものがあります。障害者手帳の取得、障害福祉サービスの利用、就労移行支援事業所の利用といったサービスは、診断名がある場合に利用しやすくなるものが多くあります。
一方でグレーゾーンの場合でも、医師の意見書や発達検査の結果等によって支援を受けられる場合があります。また診断名の有無にかかわらず利用できる支援も多く存在します。
特性の程度と日常生活への影響
診断基準は特性の数や程度、日常生活への影響の大きさによって設定されています。発達障害と診断される場合は、特性が日常生活に著しい支障をきたしていることが要件のひとつとなっています。
グレーゾーンの場合は、特性はあるものの診断基準が求めるレベルの著しい支障には至っていないという状態であることが多くあります。ただし著しい支障がないからといって、困難がないわけではありません。
グレーゾーンの人が経験する困難
グレーゾーンにある人は、診断名がないために支援を受けにくいというジレンマを抱えていることが多くあります。
困っているのに診断名がつかないため、周囲から理解されにくいという問題があります。見た目には普通に見えるために、努力が足りない、気持ちの問題だと思われてしまうことがあります。
支援を求めにくいという問題もあります。診断名がないために、支援サービスを利用することへの抵抗感を持ったり、自分には支援を受ける資格がないと感じてしまったりすることがあります。
自己理解が難しいという問題もあります。なぜ自分は他の人と同じようにできないのかがわからないまま、自己否定を繰り返してきたという経験を持つ人も多くいます。
グレーゾーンにある人への支援のあり方
診断名がなくても支援は受けられる
グレーゾーンであっても、さまざまな支援を受けることは可能です。
学校では、診断名がなくても特別支援コーディネーターへの相談や、通級指導教室の利用、個別の配慮を求めることができます。合理的配慮を求める権利は、障害者差別解消法によって保障されており、診断名の有無は直接関係しません。
職場では、診断名がなくても上司や人事部門に特性を伝えて配慮を求めることができます。業務の指示を書面で出してもらう、静かな環境で作業できるようにしてもらうといった合理的配慮を求めることが可能です。
発達検査を受けることの意義
診断名がつかない場合でも、発達検査を受けることで自分の特性の凸凹を客観的に把握することができます。ウィスク知能検査などの発達検査は、得意な領域と苦手な領域を数値で示してくれるため、自己理解を深めるうえで非常に有益です。
自分の特性を理解することで、どんな環境や方法が自分に合っているかがわかるようになり、生活や仕事における困難への対処が具体的になっていきます。
相談機関の活用
発達障害者支援センターは、発達障害の診断があるかどうかにかかわらず、発達障害の特性に関する相談に対応しています。グレーゾーンの状態にある人でも、生活上の困難についての相談や支援機関の紹介を受けることができます。
就労の場面での困難がある場合は、ハローワークの専門援助部門や地域障害者職業センターへの相談も選択肢のひとつです。
自己理解を深める
グレーゾーンにある人にとって、自分の特性を理解することが困難への対処の出発点となります。自分はどんな状況で困難を感じやすいか、どんな環境や方法が自分に合っているか、どんなことが得意でどんなことが苦手かを把握することで、日常生活や仕事における自己管理がしやすくなります。
グレーゾーンか発達障害かということに縛られすぎない
グレーゾーンか発達障害かという区別よりも、今自分が何に困っていて、どんな支援が必要かということに焦点を当てることが重要です。
診断名は支援を受けるための入り口として機能することがありますが、診断名そのものが全ての答えを与えてくれるわけではありません。診断名があってもなくても、自分の特性を理解して適切な環境と支援を整えることが、生活の質を高めるうえで本質的に重要なことです。
また発達障害の特性は連続的なものであり、グレーゾーンにある人も発達障害と診断された人も、同じスペクトラム上のどこかにいるという視点が、自己理解と他者理解を深めるうえで助けになります。
まとめ
グレーゾーンと発達障害の主な違いは、診断基準を満たしているかどうかという点にあります。グレーゾーンの場合は診断名がつかないものの、困難や生きづらさが存在することは同様です。診断名がなくても合理的配慮を求める権利があり、発達検査や相談機関の活用、自己理解を深めることで生活の質を高めることができます。グレーゾーンか発達障害かという区別よりも、今の自分の困りごとに向き合い、必要な支援を積極的に求めていくことが大切です。あなたの困りごとが適切な支援につながることを願っています。

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