はじめに 「いつから通えるのか」という疑問
就労継続支援B型事業所の利用を決意した方が最初に抱く疑問の一つが、「いつから通えるようになるのか」ということです。「来週から通いたい」「できるだけ早く始めたい」と思っている方もいれば、「手続きが複雑そうで時間がかかりそう」「いつまで待たされるのか不安」と感じている方もいるでしょう。
一般企業への就職であれば、面接に合格すれば数日後や翌週から勤務開始、ということも珍しくありません。しかし、B型事業所の利用開始には、受給者証の取得、サービス等利用計画の作成、事業所との契約など、いくつかのステップがあり、それなりの時間がかかります。「思ったより時間がかかる」と感じる方も多いのです。
逆に、「急いで始める必要はないから、ゆっくり準備したい」「いつから始めるのが良いタイミングなのか分からない」と悩んでいる方もいます。体調が安定してから、生活環境が整ってから、特定の時期(年度始めや月初など)からなど、利用開始のタイミングについての疑問もあります。
また、「すでに受給者証を持っている場合」と「これから申請する場合」では、利用開始までの期間が大きく異なります。自分の状況に応じて、どれくらいの時間を見込めばよいのか、知っておくことが重要です。
本記事では、B型事業所の利用開始までの具体的な流れ、各ステップにかかる時間、申し込みから利用開始までの一般的な期間、早く始めるためのコツ、利用開始のベストなタイミング、受給者証をすでに持っている場合の流れ、そして「すぐに始めたい」場合の対処法について、詳しく解説していきます。これから利用を始める方、ご家族や支援者の方々にとって、実践的な情報となれば幸いです。
利用開始までの基本的な流れ
まず、B型事業所の利用開始までの基本的な流れを理解しましょう。
全体の流れ(受給者証を持っていない場合)
ステップ1 相談・情報収集
- 市区町村の障がい福祉担当窓口や相談支援事業所に相談
- B型事業所について情報を集める
- 自分に合った事業所を探す
ステップ2 事業所の見学・体験
- 気になる事業所に見学を申し込む
- 実際に見学・体験利用をする
- 利用したい事業所を決める
ステップ3 受給者証の申請
- 市区町村の障がい福祉担当窓口で受給者証を申請
- 必要書類を提出
- 調査・審査を受ける
ステップ4 サービス等利用計画の作成
- 相談支援事業所と契約
- 相談支援専門員がサービス等利用計画(案)を作成
- 市区町村に提出
ステップ5 受給者証の交付
- 市区町村から受給者証が交付される
- 支給決定通知を受け取る
ステップ6 事業所との契約
- 受給者証を持って事業所と契約
- 重要事項の説明を受ける
- 契約書にサインする
ステップ7 個別支援計画の作成
- 事業所のスタッフが個別支援計画を作成
- 本人と面談して目標などを決める
ステップ8 利用開始
- いよいよ通所開始
全体の流れ(すでに受給者証を持っている場合)
ステップ1 事業所の見学・体験
- 気になる事業所に見学を申し込む
- 実際に見学・体験利用をする
- 利用したい事業所を決める
ステップ2 サービス等利用計画の変更
- 相談支援専門員に新しい事業所を利用したいことを伝える
- サービス等利用計画を変更してもらう
ステップ3 受給者証の変更申請(必要な場合)
- 市区町村で受給者証の事業所名などを変更
- または新しい受給者証の交付を受ける
ステップ4 事業所との契約
- 受給者証を持って事業所と契約
- 重要事項の説明を受ける
- 契約書にサインする
ステップ5 個別支援計画の作成
- 事業所のスタッフが個別支援計画を作成
ステップ6 利用開始
- 通所開始
各ステップにかかる時間
それぞれのステップに、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。
ステップ1 相談・情報収集(1週間〜1ヶ月程度)
すぐに始められる 相談や情報収集は、自分のペースで進められます。すぐに行動すれば数日で終わりますが、じっくり考えたい方は1ヶ月程度かけることもあります。
- 市区町村の窓口への相談 1日
- 相談支援事業所への相談 1日〜数日
- インターネットでの情報収集 数日〜1週間
ステップ2 事業所の見学・体験(1週間〜1ヶ月程度)
事業所の都合にも依る 見学の予約から実際の見学まで、数日〜1週間程度かかります。複数の事業所を見学する場合は、2〜4週間程度かかることもあります。
- 見学の予約 即日〜数日
- 見学の実施 予約から数日〜1週間後
- 体験利用 数日〜1週間程度
- 複数事業所の見学 2〜4週間
時期による違い
- 年度始め(4月)や年度末(3月)は混み合う
- 年末年始、ゴールデンウィーク、お盆は休みの事業所が多い
ステップ3 受給者証の申請(即日〜数日)
書類提出自体は早い 必要書類が揃っていれば、申請自体は1日で完了します。ただし、書類を揃えるのに時間がかかることもあります。
必要な書類
- 申請書(窓口でもらえる)
- 障害者手帳(持っている場合)
- 医師の診断書・意見書(手帳がない場合)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 印鑑
診断書の取得
- 主治医に依頼 即日〜1週間
- 診断書の作成 1週間〜1ヶ月
- 費用 3,000円〜5,000円程度
診断書の取得に時間がかかる場合があるので、早めに依頼しましょう。
ステップ4 サービス等利用計画の作成(1週間〜2週間程度)
相談支援専門員との面談 相談支援専門員との面談日程の調整、面談の実施、計画書の作成に、1〜2週間程度かかります。
- 相談支援事業所との契約 数日
- 面談の日程調整 数日〜1週間
- 面談の実施 1日
- 計画書の作成 数日〜1週間
ステップ5 受給者証の交付(1〜2ヶ月程度)
最も時間がかかる 受給者証の交付は、申請から1〜2ヶ月程度かかることが一般的です。これが、利用開始までの時間を最も左右する要因です。
審査の流れ
- 申請書類の受理 即日
- 調査員による調査(訪問または面談) 申請から1〜3週間後
- 市区町村の審査 調査から2〜4週間
- 受給者証の交付 審査完了から数日〜1週間
地域による違い
- 都市部 比較的早い(1ヶ月程度)
- 地方 やや遅い(1.5〜2ヶ月程度)
- 年度末や年度始め 混み合って遅くなることも
最短の場合 スムーズに進めば、3〜4週間程度で交付されることもあります。
長引く場合 書類不備、追加調査が必要、繁忙期などの理由で、2〜3ヶ月かかることもあります。
ステップ6 事業所との契約(即日〜1週間)
受給者証があればすぐ 受給者証が交付されたら、事業所との契約はスムーズです。
- 契約日の調整 数日
- 契約手続き 1〜2時間
- 重要事項の説明 30分〜1時間
ステップ7 個別支援計画の作成(1週間〜2週間)
利用開始前または開始直後 個別支援計画は、利用開始前に作成されることもあれば、利用開始後に作成されることもあります。
- 本人との面談 1〜2時間
- 計画書の作成 数日〜1週間
ステップ8 利用開始
契約後すぐ〜数週間後 契約が完了すれば、最短で翌日から、通常は数日〜1週間後から利用開始できます。
利用開始日の決め方
- 本人の希望する日
- 月初め(1日や月曜日など区切りの良い日)
- 事業所の都合の良い日
本人と事業所で相談して決めます。
申し込みから利用開始までの一般的な期間
全体として、申し込みから利用開始までどれくらいかかるのでしょうか。
受給者証を持っていない場合 2〜3ヶ月程度
最も一般的なケース 受給者証を持っていない方が、申し込みから利用開始までにかかる期間は、平均して2〜3ヶ月程度です。
内訳
- 相談・情報収集 1〜2週間
- 事業所の見学・体験 2〜4週間
- 受給者証の申請準備(診断書取得など) 1〜4週間
- 受給者証の交付 4〜8週間
- サービス等利用計画の作成 1〜2週間
- 事業所との契約・利用開始準備 1週間
最短の場合 1〜1.5ヶ月 すべてがスムーズに進めば、1〜1.5ヶ月程度で利用開始できることもあります。
長引く場合 4〜6ヶ月 書類不備、診断書の取得に時間がかかる、繁忙期、複雑なケースなどで、4〜6ヶ月かかることもあります。
すでに受給者証を持っている場合 2週間〜1ヶ月程度
大幅に短縮される すでに受給者証を持っている場合、事業所の見学・契約だけなので、2週間〜1ヶ月程度で利用開始できます。
内訳
- 事業所の見学・体験 1〜2週間
- サービス等利用計画の変更 1週間
- 受給者証の変更手続き(必要な場合) 数日〜1週間
- 事業所との契約・利用開始準備 1週間
最短の場合 1週間 すでに利用したい事業所が決まっていて、受給者証の変更が不要な場合、1週間程度で利用開始できることもあります。
時期による違い
早い時期
- 5月〜2月 比較的スムーズ
遅い時期
- 3月〜4月 年度末・年度始めで混み合う
- 12月〜1月 年末年始で手続きが遅れる
- 8月 お盆休みで遅れることも
早く利用開始するためのコツ
できるだけ早く利用開始したい方のための、時間短縮のコツです。
事前準備を整える
必要書類を早めに揃える
- 診断書は早めに主治医に依頼する
- 障害者手帳を持っている場合は用意しておく
- マイナンバーカードを確認しておく
診断書の取得に時間がかかることが多いので、B型利用を検討し始めたら、すぐに主治医に相談しましょう。
相談支援事業所を早めに決める
計画作成を並行して進める 受給者証の申請と並行して、相談支援事業所と契約し、サービス等利用計画の作成を進めることで、時間を短縮できます。
市区町村の窓口に何度も足を運ぶ
こまめに進捗確認 受給者証の審査状況を定期的に確認することで、書類不備などの問題を早期に発見し、対処できます。
繁忙期を避ける
時期を選ぶ 可能であれば、3〜4月、12〜1月を避けて申請すると、スムーズに進むことがあります。
複数の事業所を同時に見学する
並行して進める 一つずつ見学するのではなく、複数の事業所の見学を同時期に予約することで、時間を短縮できます。
事業所に事情を伝える
優先対応してもらう 「できるだけ早く利用開始したい」という事情を事業所に伝えることで、見学や契約の日程を優先してもらえることもあります。
利用開始のベストなタイミング
「いつから始めるのが良いか」というタイミングの問題も重要です。
体調が安定している時
最も重要な条件 体調が不安定な時に無理に始めても、続かない可能性があります。ある程度体調が安定している時期を選びましょう。
生活環境が落ち着いている時
大きな変化が重ならないように 引っ越し、家族の病気、その他の大きな生活の変化と重ならないタイミングを選びましょう。
気候の良い時期
通所の負担を減らす 真夏や真冬は、通所自体が体力的に負担になることがあります。可能であれば、春や秋など気候の良い時期に始めるのがおすすめです。
月初めや週初め
区切りが良い 月の途中や週の途中から始めるより、月初め(1日)や週初め(月曜日)から始める方が、気持ち的にも区切りが良く、生活リズムも作りやすいです。
年度始め(4月)
新しいスタート 4月は年度始めで、新しく利用を始める方も多く、「一緒に始める仲間」がいることがあります。ただし、混み合う時期でもあります。
「今」が最適なタイミング
先延ばしにしない 「もっと体調が良くなってから」「もっと準備ができてから」と先延ばしにしていると、いつまでも始められません。
完璧なタイミングなど存在しません。「今」が最適なタイミングかもしれません。
「すぐに始めたい」場合の対処法
「来週から」「来月から」など、すぐに利用開始したい場合の対処法です。
現実的な期間を理解する
最短でも数週間 受給者証を持っていない場合、どんなに急いでも、最短で1ヶ月程度はかかることを理解しましょう。
受給者証を持っている場合でも、事業所の見学・契約に最低1〜2週間はかかります。
既に受給者証を持っているか確認
大幅に短縮できる 過去に他の障害福祉サービスを利用していて、受給者証を持っている場合、大幅に時間を短縮できます。
手元にあるか、市区町村に確認しましょう。
市区町村に急ぎであることを伝える
優先審査の可能性 緊急性が高い理由(生活困窮、家族の状況など)がある場合、市区町村に相談することで、優先的に審査してもらえることがあります。
相談支援事業所に協力を求める
迅速な対応 相談支援専門員に事情を説明し、サービス等利用計画の作成を急いでもらうよう依頼しましょう。
事業所に事前に相談する
見学前から関係構築 事業所に「できるだけ早く利用開始したい」ことを伝え、見学・体験・契約のスケジュールを調整してもらいましょう。
並行処理を徹底する
同時に進める 受給者証の申請、サービス等利用計画の作成、事業所の見学など、できることはすべて並行して進めましょう。
代替案を検討する
他のサービスを一時的に B型の利用開始を待つ間、地域活動支援センターやデイケアなど、他のサービスを一時的に利用することも検討しましょう。
利用開始時期を事業所に伝えるタイミング
いつから利用開始したいかを、いつ事業所に伝えればよいのでしょうか。
見学時に希望を伝える
早めに共有 見学の際に、「○月から利用開始したい」という希望を伝えておくと、事業所も準備しやすくなります。
受給者証の交付見込みを確認してから
確実性を高める 市区町村に受給者証の交付時期の見込みを確認してから、事業所に具体的な利用開始時期を伝えると、確実です。
柔軟性を持たせる
調整の余地 「○月○日から」と厳格に決めるより、「○月上旬から」「○月の第1週から」と、ある程度柔軟性を持たせた方が、調整しやすくなります。
よくある質問
Q1 受給者証が交付される前に利用開始できますか?
A 原則として不可 受給者証がないと、正式な利用はできません。ただし、「体験利用」として数日間事業所を利用することは可能です。
Q2 利用開始日を途中で変更できますか?
A 可能です 体調不良や家庭の事情などで、予定していた利用開始日を変更することは可能です。早めに事業所に連絡しましょう。
Q3 月の途中から利用開始しても大丈夫ですか?
A 大丈夫です 月の途中からでも問題ありません。工賃は実際に通所した日数に応じて計算されます。
Q4 利用開始後、すぐに週5日フルタイムで通う必要がありますか?
A その必要はありません 最初は週1〜2日、午前のみなど、無理のない範囲から始めて、徐々に増やしていくことが推奨されます。
Q5 受給者証の有効期限が切れそうです。間に合いますか?
A 早急に更新手続きを 有効期限の3ヶ月前から更新手続きができます。すぐに市区町村の窓口に相談してください。
まとめ 計画的に、でも焦らずに
就労継続支援B型事業所の利用開始までには、相談・情報収集、事業所の見学・体験、受給者証の申請、サービス等利用計画の作成、受給者証の交付、事業所との契約、個別支援計画の作成といった複数のステップがあります。
受給者証を持っていない場合、申し込みから利用開始まで平均2〜3ヶ月程度かかります。すでに受給者証を持っている場合は、2週間〜1ヶ月程度で利用開始できます。
最も時間がかかるのは受給者証の交付(1〜2ヶ月程度)です。診断書を早めに取得する、繁忙期を避ける、並行処理を徹底するなどで、時間を短縮できます。
利用開始のベストなタイミングは、体調が安定している時、生活環境が落ち着いている時、気候の良い時期などですが、最も重要なのは「先延ばしにしない」ことです。
「すぐに始めたい」場合でも、最短で1ヶ月程度はかかることを理解し、現実的なスケジュールを立てましょう。市区町村や相談支援事業所、事業所に協力を求めることで、できる限りスムーズに進めることができます。
利用開始までの期間は、決して無駄な時間ではありません。事業所をじっくり選ぶ、体調を整える、心の準備をするなど、有意義に使いましょう。
焦らず、でも着実に、一歩ずつ進んでいけば、必ず利用開始の日が来ます。その日に向けて、準備を進めていってください。応援しています。

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