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「最近、人の話が聞き取りにくい」「テレビの音量を上げても言葉がはっきりしない」。そんな症状に心当たりがあるなら、もしかすると「感音性難聴」かもしれません。
「気のせいかな」と見過ごしがちですが、慢性化すると改善が難しくなるため早めの気づきが大切です。聞き慣れない言葉に戸惑うかもしれませんが、この記事では感音性難聴の原因や症状、対処法についてわかりやすく解説していきます。
感音性難聴とは何か
感音性難聴とは、耳の奥にある「内耳(ないじ)」や、音の信号を脳へ伝える「聴神経」にトラブルが起きることで生じる難聴です。この難聴の大きな特徴は、「音は聞こえるけれど、言葉の内容が聞き取りにくい」という点にあります。音量を大きくしても、必ずしもクリアに聞こえるとは限らないのがもどかしいところです。
また、一度ダメージを受けた内耳の細胞(有毛細胞)や神経は、残念ながら元の状態に戻りにくい性質を持っています。だからこそ、早めに変化に気づき、適切な対処をしていくことがとても大切になります。
感音性難聴の原因
感音性難聴にはさまざまな原因があります。主なものを見ていきましょう。
加齢による変化(加齢性難聴・老人性難聴)
最も一般的な原因です。年齢を重ねるにつれて、耳の奥(内耳)の細胞が自然と衰えていくことで起こります。
騒音への長期間の曝露(イヤホン・職場環境など)
大きな音を聴き続けることも要因になります。「ライブ会場での大音量」「工場などの騒音」「イヤホンやヘッドホンでの長時間・大音量の使用」などが該当します。
突発性難聴
ある日突然、片方の耳が聞こえなくなる病気です。詳しい原因は解明されていませんが「ウイルス感染」や「血流障害」が関係していると考えられています。
その他の要因(病気・薬・遺伝など)
ウイルス感染(おたふく風邪など)、遺伝的要因、特定のお薬(抗生物質や抗がん剤など)の副作用で起こることもあります。なお、詳しい検査をしても原因がはっきり特定できないケースも少なくありません。
どんな症状が出るのか
感音性難聴では、次のような症状が現れることが多いです。
言葉がぼやけて聞こえる(音量は十分なのに、何を言っているのかはっきりしない状態)
音量は十分なのに、言葉の輪郭がぼやけて内容がはっきりと聞き取れなくなります。
聞き返しが増える(「え?」「何て言った?」と何度も確認する)
何度も聞き返してしまうことで、日常の会話にストレスを感じる場面が増えていきます。
高い音が聞こえにくくなる(女性や子どもの声、電子音など)
特に高音が障害されやすく、女性や子どもの声、鳥の鳴き声、電子音が聞き取りづらくなります。
電話の声が聞き取りづらい(対面なら分かるのに電話だと理解しにくい)
対面なら表情や口元で補えても、音声だけの電話になると内容を理解するのが難しくなります。
雑音の中だと会話がほぼ拾えない(レストランや駅などの騒がしい場所)
静かな場所では会話できても、周囲が騒がしい場所に入ると途端に声が拾えなくなります。
耳鳴りを伴う(「キーン」や「ジー」という音が常に聞こえる)
耳鳴りを伴うケースも多く、「キーン」という高音や「ジー」という音が常に聞こえ続けることがあります。
他の難聴との違い
難聴には大きく分けて「伝音性難聴」と「感音性難聴」の2種類があり、この違いを知っておくことがとても大切です。
伝音性難聴(外耳や中耳にトラブルがあるタイプ)
音を伝える部分に問題があり、音が奥まで届きにくい状態です。耳垢の詰まりや鼓膜の損傷、中耳炎などが原因になります。音量を上げれば聞こえやすくなることが多く、治療によって改善する可能性が高いのが特徴です。
感音性難聴(内耳や聴神経にトラブルがあるタイプ)
音を感じ取る部分に問題があり、音は届いていても脳へうまく信号が伝わらない状態です。音量を上げても言葉の内容までクリアになるとは限らず、じっくり付き合っていくケアが必要になるケースが多くなります。
この2つは原因もサポートの仕方も大きく異なるため、まずは専門医による正確な診断を受けることが第一歩になります。なお、両方の特徴をあわせ持った「混合性難聴」というタイプもあります。
どうやって診断するのか
感音性難聴の診断には、いくつかの検査が行われます。
聴力検査・オージオグラム(音の聞こえ方を調べる基本検査)
ヘッドホンをつけ、さまざまな高さや大きさの音がどこまで聞こえるかを調べます。結果がグラフで視覚化されるため、どの音域が聞こえにくいかが一目で分かります。
語音明瞭度検査(言葉の聞き取りやすさを測るテスト)
実際に言葉を聞いて、どれだけ正確に聞き取れているかをテストします。音は聞こえても言葉の理解度が低下するという、感音性難聴ならではの特徴を確認するために重要です。
医師による耳の状態確認(外耳や鼓膜のチェック)
耳の中を観察し、鼓膜や耳の穴(外耳道)に炎症や詰まりなどの異常がないかを確認します。
その他の追加検査(原因を詳しく特定する精密検査)
原因をさらに詳しく特定するため、必要に応じて血液検査、MRI検査、CT検査などを行う場合があります。
治療・対処法
感音性難聴の治療や対処法は、原因や進行度によって異なります。
突発性難聴(早期治療が極めて重要)
「突然聞こえなくなった」と感じたら、すぐに耳鼻科を受診してください。発症から48時間以内、遅くとも2週間以内にステロイド治療を開始することで、回復の可能性が高まります。
慢性型の感音性難聴(完治は難しいが工夫でサポート)
内耳の細胞や神経は再生しないため、失われた聴力を元に戻すことは基本的に困難です。しかし、最近は性能が向上した補聴器で言葉の聞き取りを助けたり、重度の場合は人工内耳(内耳に電極を埋め込んで聴神経を刺激する装置)を検討したりと、選択肢は存在します。
生活環境の調整(生活の質を保つ工夫)
できるだけ騒音を避ける、周囲の人にゆっくり・はっきり話してもらうようお願いする、筆談やメモを活用するなど、工夫次第で生活の質を保つことができます。
日常生活で気をつけること
感音性難聴を予防し、悪化を防ぐために日頃から意識したいポイントです。
音量と使用時間(イヤホン・ヘッドホン)
音量を抑えることが最も重要です。目安は周りに音が漏れない「最大音量の60%以下」とし、連続使用も1時間以内にとどめて適度に耳を休ませましょう。
騒音対策(耳を保護する)
雑音の多い環境を避けることも予防につながります。どうしても大きな音がする場所にいる場合は、耳栓やイヤーマフを使って耳を守りましょう。
早めの耳鼻科受診(放置しない)
「最近聞こえにくいな」と少しでも違和感を覚えたら、放置せずに早めに専門医へ相談することが大切です。
疲れを溜めない工夫(無理をしない)
集中して聞き続けると、心身ともに疲労がたまります。無理に聞き取ろうとせず、筆談を使ったり静かな場所に移動して話してもらったりしましょう。
周囲との共有(話し方の工夫をお願いする)
家族や職場の人に「正面からゆっくり・はっきり話してもらう」「大切なことはメモでももらう」など、あらかじめ伝えて理解し合える関係を作っておくことが大切です。
放置するとどうなる?
「少し聞こえにくい程度だから大丈夫」と放置してしまうと、次のような問題につながる可能性があります。
聴力のさらなる悪化
特に加齢性の場合は徐々に進行するため、違和感を覚えた段階での早めの対処が重要です。
コミュニケーションのストレス
聞き返しが増えると会話自体が億劫になり、人と話すのを避けてしまいがちになります。
社会的な孤立と生活の質の低下
外出や人との交流を減らしてしまう結果、社会的孤立につながり、生活の質(QOL)が大きく低下してしまいます。
認知機能低下(認知症)のリスク
近年の研究では、聴力の低下によって脳への刺激が減ることが、認知症リスクを高める可能性も指摘されています。
よくある質問(FAQ)
感音性難聴について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q: 感音性難聴は治るの?
A: 残念ながら、慢性的な感音性難聴は完治が難しいケースが多いです。ただし、突発性難聴など急性のものは早期治療で回復する可能性があります。また、補聴器などを使えば日常生活の不便さは大きく軽減できます。
Q: 補聴器は必要?
A: 聴力の程度や生活の困り具合によります。軽度であれば様子を見ることもありますが、会話に支障が出ているなら補聴器の使用を検討する価値があります。まずは耳鼻科医に相談し、聴力検査の結果を見ながら判断しましょう。
Q: どの段階で病院に行けばいい?
A: 「聞こえにくいな」と感じた時点で受診することをおすすめします。特に、突然聞こえなくなった、片耳だけ聞こえない、耳鳴りがひどいといった症状があれば、すぐに耳鼻科を受診してください。
Q: 若くてもなるの?
A: はい、若い人でも感音性難聴になることはあります。大音量の音楽を聴き続けたり、突発性難聴を発症したりすることで、年齢に関係なく起こり得ます。
Q: 耳鳴りと関係あるの?
A: 感音性難聴と耳鳴りは密接に関係していることが多いです。内耳や聴神経のダメージが両方の症状を引き起こすためです。耳鳴りが続く場合も、早めに耳鼻科を受診しましょう。
Q: 高い音と低い音で聞こえ方は違う?
A: はい、原因によって異なります。高音障害(加齢・騒音など)では「体温計の電子音」や「サ行・カ行の聞き間違い」が増え、低音障害では「男性の声」が聞き取りにくくなったり耳の詰まり感が出たりします。
Q: 日頃からできる予防策はある?
A: イヤホン使用時は1時間ごとに耳を休ませ、耳を優しく上下左右に引っ張るストレッチ等で血流を促しましょう。あわせて、十分な睡眠やビタミンB12・亜鉛を意識した食事など、健康的な生活習慣で、全身の毛細血管含めての血流を促し、耳の神経を保つことが大切です。
まとめ
感音性難聴は、「音は聞こえるけど言葉が聞き取りにくい」という特徴を持つ難聴です。内耳や聴神経にダメージが起きることで発症し、一度失われた機能は元に戻りにくいという難しさがあります。
しかし、早期に気付いて正しい対処をすれば、改善の余地もあり、補聴器などの活用によって生活のしづらさは大きく減らすこともできます。完治が難しくても、快適に暮らす方法は必ずあります。
「最近聞こえにくいな」「会話が疲れるな」と感じたら、それは体からのサインかもしれません。忙しい毎日の中でも見過ごしがちな体の変化に気づくような、そんな心のゆとりを少し持ってみてください。もし気になる点がある場合は、不安なまま悩み続けるよりも、専門医に相談することが、安心への最短ルートになります。
聴力は日常生活の質に直結する大切な感覚です。自分の体をいたわる早めの行動が、これからの人生を必ずより豊かにする第一歩になるはずです。

