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円安で就労継続支援の工賃や売上はどう変わる?事業所への影響と対応策を解説
就労継続支援事業所を運営する中で、「円安によって原材料費が上がったけれど、工賃や事業所の売上にはどのような影響があるのだろう」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
パンや菓子の製造、弁当づくり、農作業、軽作業など、就労継続支援事業所ではさまざまな生産活動が行われています。
こうした活動では、原材料費や燃料費、光熱費などの上昇が利益に影響することがあります。
特に、輸入品に頼る原材料を多く使っている事業所では、円安によるコスト上昇が生産活動の収益に影響しやすくなります。
この記事では、円安が就労継続支援A型・B型の生産活動にどのような影響を与えるのか、工賃や賃金との関係、事業所が取り組める対策について分かりやすく解説します。
工賃・賃金は生産活動とどのように関係する?
まず、就労継続支援A型とB型では、利用者に支払われるお金の仕組みが異なります。
B型は「工賃」として支払われる
就労継続支援B型では、利用者と雇用契約を結ばず、生産活動などに取り組みます。
利用者が作業を通じて得た収入は、「賃金」ではなく「工賃」として支払われます。
工賃は、事業所が行う生産活動の売上から、材料費などの必要な経費を差し引いた収益をもとに支払われます。
例えば、パンを製造して販売する場合を考えてみましょう。
パンの販売によって売上があっても、小麦粉や油、包装資材などの費用が高くなれば、売上から残る利益は少なくなります。
そのため、販売価格を変えないまま原材料費だけが上昇すると、生産活動の収益を確保しにくくなることがあります。
A型は「賃金」が支払われる
一方、就労継続支援A型では、利用者と雇用契約を結んで働くため、原則として最低賃金以上の賃金が支払われます。
A型でも、生産活動による収益は事業所の運営を支える重要な要素です。
そのため、原材料費や光熱費などのコストが上昇すると、生産活動の採算に影響する可能性があります。
B型は「工賃」、A型は「賃金」という違いを押さえておくことが大切です。
円安になると、なぜ原材料費が上がるの?
円安とは、外国の通貨に対して日本円の価値が低くなることです。
日本では、食品や燃料、原材料などを海外から輸入しているものも多くあります。
そのため、円安が進むと、同じ商品を輸入する場合でも、これまでより多くの日本円が必要になることがあります。
例えば、パンや菓子を製造する事業所では、小麦粉や食用油などの価格上昇が生産コストに影響する可能性があります。
また、農作業では肥料や農業資材、燃料などの価格上昇が負担になることがあります。
つまり、円安の影響は「輸入品そのもの」だけではありません。
原材料や燃料などの価格が上昇することで、最終的には生産活動全体のコストが高くなる場合があります。
生産活動によって円安の影響は変わる
すべての事業所が同じように円安の影響を受けるわけではありません。
特に影響を受けやすいのは、原材料を多く使用する生産活動です。
例えば、次のような違いがあります。
- パン・菓子製造:小麦粉、油、乳製品、包装資材など
- 弁当製造:食品、容器、燃料など
- 農作業:肥料、燃料、農業資材など
- クリーニング:洗剤、電気、ガスなど
- 軽作業:作業内容によっては材料費の影響を受ける
- デジタル関連業務:原材料価格の影響を比較的受けにくい
例えば、パンを製造する事業所では、材料費が上昇すると1個あたりの製造コストも上がります。
一方、データ入力などの受託業務では、食品製造のように大量の原材料を仕入れる必要がないため、円安による材料費の影響は比較的小さいと考えられます。
このように、円安の影響を考えるときは、「就労継続支援事業所だから影響を受ける」と一括りにするのではなく、どのような生産活動を行っているのかを見ることが重要です。
原材料費が上がると工賃はどうなる?
ここで気になるのが、「原材料費が上がると、B型の工賃も下がってしまうのか」という点です。
ただし、原材料費が上昇したからといって、必ず工賃が下がるわけではありません。
事業所によって、商品の販売価格や販売数、生産活動の内容、経費などが異なるためです。
例えば、原材料費が上がった場合でも、商品の価格を適切に見直したり、販売数を増やしたりすることで、収益を維持できる場合があります。
反対に、価格を据え置いたまま材料費だけが上昇すると、利益が小さくなり、生産活動の収益を確保することが難しくなる可能性があります。
そのため、円安による影響は「工賃が必ず下がる」という単純なものではなく、生産活動の収益を通じて工賃に影響する可能性があると考えると分かりやすいでしょう。
値上げが難しいという課題もある
原材料費が上がった場合、「商品の価格を上げればいい」と考えることもできます。
しかし、実際には簡単に値上げできない場合があります。
例えば、地域のイベントや店舗などで商品を販売している場合、価格が大きく上がると購入者が離れてしまう可能性があります。
一般企業の商品と比較される商品であれば、「この価格なら別の商品を買おう」と考える人もいるでしょう。
そのため、事業所としては、
「材料費が上がったから値上げする」
だけではなく、
「どこまで価格を見直すのか」
「商品の内容を変更できないか」
「販売方法を変えられないか」
といった点も検討する必要があります。
例えば、商品のサイズや内容を調整したり、セット販売を取り入れたり、地域とのつながりを活かして新しい販売先を開拓したりする方法も考えられます。
事業所全体の収入にも影響する可能性がある
就労継続支援事業所の収入は、生産活動による売上だけで成り立っているわけではありません。
B型の場合、利用者の受け入れなどに応じて支払われる障害福祉サービスの報酬も、事業所を運営するうえで重要な収入となります。
一方、生産活動では、商品やサービスを提供することで売上を得ています。
そのため、円安や物価高による影響を考える場合には、
「障害福祉サービスの収入」
「生産活動による売上」
「生産活動にかかる費用」
を分けて考えることが大切です。
特に、生産活動の売上が大きい事業所では、材料費や燃料費などの上昇が収益に与える影響も大きくなりやすいでしょう。
事業所ができる対策
円安によるコスト上昇に対応するため、事業所ではいくつかの取り組みが考えられます。
仕入れ先を見直す
まず考えられるのが、原材料の仕入れ先を見直すことです。
複数の業者から価格を比較したり、まとめて仕入れることで価格を抑えられないか検討したりする方法があります。
また、可能な範囲で輸入原材料への依存を減らすことも選択肢の一つです。
販売価格を見直す
原材料費が大きく上昇している場合には、販売価格の見直しも必要になります。
ただ値上げするだけではなく、商品の価値やこだわりを分かりやすく伝えることで、適正な価格で購入してもらえる環境を作ることも大切です。
生産活動そのものを見直す
材料費の負担が大きい場合には、生産活動の内容を見直す方法もあります。
例えば、材料費の割合が高い製造業務だけに頼るのではなく、軽作業やデータ入力など、比較的材料費の負担が少ない仕事を取り入れることも考えられます。
もちろん、利用者の希望や得意なこと、事業所の設備などもあるため、単純に別の仕事へ切り替えればよいわけではありません。
利用者が無理なく取り組めることと、事業所として安定した収益を確保できることの両方を考える必要があります。
自治体の物価高騰対策も確認する
円安や物価高への対応として、自治体が障害福祉サービス事業所などを対象に、光熱費や燃料費などの負担を支援する事業を実施する場合があります。
こうした支援は自治体によって内容や対象が異なるため、利用できる制度がないか確認しておくことが大切です。
補助制度を利用できれば、事業所の負担を軽減し、生産活動を安定して続けるための助けになる可能性があります。
ただし、制度の内容や申請期間は変わることがあるため、自治体や関係機関の最新情報を確認しましょう。
円安だけで工賃が決まるわけではない
円安による原材料費の上昇は、就労継続支援事業所の生産活動にとって無視できない問題です。
ただし、円安になったからといって、すべての事業所で工賃や賃金が下がるわけではありません。
商品の価格、販売数、生産活動の種類、材料費など、さまざまな要素が関係しています。
そのため、事業所ごとに「どの費用が増えているのか」「どの生産活動で利益が出ているのか」を確認することが重要です。
まとめ
円安による原材料費や燃料費、光熱費などの上昇は、就労継続支援事業所の生産活動に影響する可能性があります。
B型では、生産活動の収益が工賃につながるため、材料費などの上昇によって利益が減少すると、工賃の安定した支払いにも影響する可能性があります。
A型では利用者に賃金を支払う必要があるため、生産活動の採算を維持することが重要です。
一方で、円安の影響は事業所によって異なります。
仕入れ先の見直し、販売価格の検討、生産活動の見直し、販路の開拓、自治体の支援制度の活用などを組み合わせることで、コスト上昇への対応を考えることができます。
大切なのは、円安による影響を単純に「工賃が下がる」と捉えるのではなく、生産活動の収益とコストを確認しながら、事業所に合った方法で安定した運営を目指すことです。

