武田薬品など大手製薬企業とNPOが協働 ヘルスリテラシー向上を支える助成プログラム

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生きづらさを抱え、健康や医療について「どこに相談すればよいのか分からない」「必要な情報を探す余裕がない」という人は少なくありません。孤独・孤立や生活困窮など複数の課題が重なると、必要な支援につながること自体が難しくなる場合があります。

こうした課題に対応するため、武田薬品工業株式会社の協力を得て、日本NPOセンターが「ヘルスリテラシー向上支援プログラム」を開始しました。企業の資金や健康分野の知見と、NPOが持つ地域とのつながりや伴走支援の力を組み合わせる点が特徴です。

この記事では、ヘルスリテラシーの意味、助成の対象、応募条件、助成額、企業とNPOが協働する意義まで分かりやすく解説します。

1.ヘルスリテラシーとは何か

ヘルスリテラシーとは、健康や医療に関する情報を「入手し、理解し、活用する力」です。単に病気の知識を持っているだけではなく、自分に必要な情報を探し、内容を理解し、医療機関や相談窓口などにつなげ、生活の中で生かす力まで含まれます。

特に、生きづらさを抱えている人にとって、この力は重要です。経済的な困難、孤独・孤立、家庭内の問題、障害、精神的な不調などが重なると、健康情報を調べること自体が負担になることがあります。

日本NPOセンターが2026年に実施した調査では、支援団体の71.5%が「対象者のヘルスリテラシーは低い」と回答しています。健康情報へのアクセスの難しさは、受診の遅れや必要な支援につながれないことにも関係するため、情報提供だけでなく、本人に寄り添って一緒に整理する支援が重要です。

武田薬品との協働プログラムの概要

今回のプログラムは、武田薬品工業株式会社の協力を得て、日本NPOセンターが実施するものです。

対象となるのは、生きづらさを抱え、助けを求めることが難しい人に対して、健康や医療に関する情報へアクセスし、理解し、活用する力を高める活動を行う民間非営利団体です。

企業が資金面などを支え、中間支援組織である日本NPOセンターが助成事業を運営することで、企業だけでは届きにくい地域や当事者のもとへ支援を届けることが期待されています。

さらに、助成を行って終わりではなく、そこで得られた成果や知見を各地の団体と共有し、全国に広がるモデルを目指している点もポイントです。

3.どのような活動が助成対象になるのか

助成対象は、ヘルスリテラシー向上を目的として新たに行う事業、または既存事業の拡充につながる取り組みです。

具体的には、次の3つが挙げられています。

・当事者へのパーソナル支援
・家族や支援者への支援の充実
・地域コミュニティなどへの理解促進

つまり、本人への直接支援だけが対象ではありません。家族や支援者が健康情報を理解し、適切な支援につなげる仕組みづくりや、地域全体の理解を深める活動も対象になり得ます。

たとえば、相談者と一緒に医療情報を整理する、受診や相談先につなぐ、家族向けの学習会を開く、地域で健康情報を分かりやすく伝えるといった取り組みが考えられます。

重要なのは、「情報を配る」だけで終わらず、本人が実際に理解し、選択し、必要な支援を利用できる状態につなげることです。

4.助成を受けるための団体要件

助成対象となるには、複数の条件を満たす必要があります。

法人格を持つ民間非営利団体であることに加え、当事者へのパーソナル支援を実施していること、団体設立後に本プログラムのテーマについて3年以上の活動実績があることが求められています。

また、前年度の年間支出規模は5,000万円未満とされています。定款や前年度の事業報告書・会計報告書を提出できること、NPO法人会計基準またはそれに準じた会計報告を行っていることも条件です。

特定の政治・宗教に偏らないことや、反社会的勢力との関係がないことなど、公益性や組織運営の透明性に関する要件も設けられています。

そのため、応募を考える団体は、事業内容だけでなく、会計やガバナンス、過去の活動実績まで含めて事前に確認しておくことが大切です。

5.助成額はいくら?対象経費と継続助成にも注目

第1回助成では、助成総額2,400万円を予定し、1件当たり150万円から300万円までとされています。ただし、助成額は応募団体の財政規模の2分の1までという上限があります。

助成期間は2026年10月1日から2027年9月30日までの1年間です。事業に必要な経費だけでなく、事業実施に関係する人件費、家賃、水道光熱費などの事務局経費も対象に含められます。

一方、人件費には申請額の50%までという上限があり、賞与、社会保険料、通勤交通費などは助成対象外とされています。

さらに、採択された事業は2年目の継続助成に申請できます。ただし、自動的に継続されるわけではなく、再申請と選考が必要です。

助成金を活用する際は、単年度の活動費を確保するだけでなく、事業終了後にどのように活動を継続するのかまで計画しておくことが重要です。

6.第1回募集は終了、今後に向けて確認したいこと

第1回助成の応募受付期間は、2026年6月15日から6月30日17時まででした。日本NPOセンターの案内では、現在は「締め切りました」とされています。

したがって、これから応募を検討する団体は、第1回募集にそのまま申請することはできません。ただし、今後の募集や関連する助成制度を見据えて準備しておくことはできます。

特に、①活動実績を整理する、②対象者のニーズを具体化する、③事業によって何が改善するのかを明確にする、④成果を測る指標を考える、⑤予算と実施体制を整える、という準備が役立ちます。

今回の選考では、社会的意義だけでなく、ニーズの把握、長期的な展望、実施能力、スケジュールや予算の妥当性なども評価項目とされています。助成金申請では「何をしたいか」だけでなく、「なぜ必要なのか」「誰にどのような変化を生み出すのか」を具体的に示すことが重要です。

7.企業とNPOの協働が持つ意味

企業とNPOの協働には、それぞれの強みを生かせるメリットがあります。

企業側には、資金力や専門的な知見、社会的なネットワークがあります。一方、NPOは地域に根ざし、制度だけでは支援につながりにくい人と日常的に関わっているケースがあります。

両者を組み合わせることで、企業からの資金を現場のニーズに合わせて活用し、支援の実践から得られた知見を次の活動へ生かすことが可能になります。

武田薬品工業株式会社と日本NPOセンターは、これまでも「タケダ・女性のライフサポート助成プログラム」など、生活上の困難を抱える人を支援するNPOへの助成に取り組んできました。日本NPOセンターによれば、現在も子ども・若者を対象としたライフサポートプログラムなど、武田薬品との協働が続いています。

こうした取り組みは、企業の社会貢献にとどまらず、NPOの現場で見つかった課題を社会全体で共有し、支援モデルを広げるきっかけにもなります。

まとめ

武田薬品工業株式会社と日本NPOセンターによる「ヘルスリテラシー向上支援プログラム」は、生きづらさを抱え、必要な支援を求めることが難しい人を支えるNPOを後押しする取り組みです。

ヘルスリテラシーは、健康情報を知識として持つだけではありません。必要な情報を探し、理解し、自分に合った医療や福祉の支援につなげるための重要な力です。

第1回助成では、当事者へのパーソナル支援だけでなく、家族・支援者への支援や地域への理解促進も対象となりました。企業の資金・知見とNPOの現場力を組み合わせることで、制度だけでは届きにくい人への支援を広げる可能性があります。

なお、第1回の募集は2026年6月30日に締め切られています。今後の募集を検討するNPOは、日本NPOセンターの最新情報を確認しながら、活動実績、事業計画、成果指標、予算、継続性などを早めに整理しておくとよいでしょう。

いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

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