1. はじめに
双極性障害(躁うつ病)を抱えて生きる人には、共通する経験や感覚があります。それは、症状そのものだけでなく、日常生活での細かな困りごと、周囲との関係、治療への葛藤など、様々な場面に現れます。
この記事では、双極性障害の当事者が「あるある!」と共感する経験を50個集めました。「自分だけじゃなかった」と感じることで、孤独感が和らぎ、少し気持ちが楽になるかもしれません。
また、家族や友人、パートナーなど、周囲の人にとっても、当事者の気持ちや経験を理解する手がかりになれば幸いです。
注意:この記事は、双極性障害の深刻さを軽視するものではありません。むしろ、共感を通じて、この病気と向き合う人々の気持ちに寄り添うことを目的としています。
2. 躁状態・軽躁状態のあるある
気分と行動
- 「調子が良い」と思っているときほど、実は危ない。本人は「最高の状態」と感じているが、実際には躁状態に入っているサイン。
- アイデアが次々と湧いてきて、「これは天才的だ!」と思う。そして、複数のプロジェクトを同時に始めるが、どれも完成しない。
- 睡眠時間が2時間から3時間でも全く疲れない。むしろエネルギーに満ち溢れている。
- 買い物が止まらない。クレジットカードの限度額まで使い切る、ローンを組む、後で後悔する。
- 「人生が輝いて見える」瞬間がある。すべてが美しく、可能性に満ちていると感じる。
- 話が止まらない。一方的にしゃべり続け、相手の反応を見ていない。途中で話を遮られるとイライラする。
- 突然、大きな決断をする。仕事を辞める、引っ越す、結婚(離婚)するなど、重大な決断を衝動的にする。
- 「自分は特別な才能がある」と確信する。実際にはそうでなくても、自分は選ばれた人間だと信じる。
- 怒りっぽくなる。思い通りにならないと激しく怒る。周囲を攻撃する。
- 性的に奔放になる。普段はしないような行動を取り、後で後悔する。
後悔と気づき
- 躁状態のときの行動を後で思い出して、穴があったら入りたくなる。特にSNSの投稿や、人への発言など。
- クレジットカードの請求書を見て、現実に引き戻される。「こんなに使った?」と愕然とする。
- 躁状態のときに始めたプロジェクトが、部屋に山積みになっている。半分作りかけの何か、読みかけの本、買ったままの教材など。
- 躁のときに人間関係を壊していることに、後で気づく。友人を失う、恋人と別れる、職場でトラブルを起こす。
- 「あのとき止めてくれればよかったのに」と思う。でも、そのときは誰の忠告も聞かなかった。
3. うつ状態のあるある
気分と体調
- 朝が来ることが怖い。また一日が始まることが耐えられない。
- ベッドから出られない。体が鉛のように重く、動けない。
- シャワーを浴びることが大仕事。何日も入浴できないこともある。
- 食事を作る気力がない。食べる気力もない。または、逆に食べ続ける。
- 「自分は価値がない」「消えてしまいたい」と思う。自己否定感が強く、すべてが絶望的に見える。
- 涙が止まらない。理由もなく、または些細なことで泣いてしまう。
- 何をしても楽しくない。かつて好きだったことにも、まったく興味が持てない。
- 考えがまとまらない。仕事や家事の段取りが分からない。簡単な決断ができない。
- 「死にたい」という気持ちが頭から離れない。でも、それを誰にも言えない。
- 体のあちこちが痛い。頭痛、腰痛、胃痛など、原因不明の痛みが続く。
社会生活
- 仕事や学校に行けない。行かなければと思うが、体が動かない。
- 人と会いたくない。誰とも話したくない。電話にも出られない。
- SNSを見るのも辛い。他人の楽しそうな様子が、自分の惨めさを際立たせる。
- 外出できない。外に出ることが恐怖。家から一歩も出られない日が続く。
- 「自分だけが取り残されている」と感じる。世界は動いているのに、自分だけが止まっている。
4. 波のあるある
- 「今度こそ治った!」と思うが、また波が来る。寛解期に入ると、「もう大丈夫」と思うが、また躁やうつのエピソードが来る。
- 季節の変わり目に調子を崩す。春や秋に躁状態、冬にうつ状態になりやすい。
- 調子が良い日と悪い日の差が激しい。昨日は元気だったのに、今日は動けない。
- 「普通の状態」がどんな感じか分からなくなる。躁でもうつでもない「普通」を忘れる。
- 波の周期が読めない。いつ次の波が来るか分からない不安が常にある。
5. 薬と治療のあるある
- 薬の副作用が辛い。眠気、体重増加、手の震え、口の渇きなど。
- 「薬を飲み続けなければならない」という現実が重い。一生飲み続けるのかと思うと、気が遠くなる。
- 調子が良くなると、薬をやめたくなる。「もう治ったから必要ない」と思い、勝手に服薬をやめて再発する。
- 何種類もの薬を飲んでいて、管理が大変。朝・昼・夜、食前・食後など、複雑な服薬スケジュール。
- 薬が効いているのか分からない。効果を実感しにくく、「本当に必要?」と疑問に思う。
- 薬を飲み忘れて焦る。「飲んだっけ?」と不安になる。
- 血中濃度の測定が面倒。リチウムなど、定期的な採血が必要な薬がある。
- 主治医との関係が重要すぎて、プレッシャー。転院したいけど、新しい医師に一から説明するのが億劫。
6. 周囲との関係のあるある
- 「頑張って」「気の持ちようだよ」と言われて傷つく。善意の言葉が、逆に苦しい。
- 病気を理解してもらえない。「甘えている」「怠けている」と思われる。
- 躁のときとうつのときで、周囲の反応が違う。躁のときは「元気でいいね」、うつのときは「やる気がない」と言われる。
- 家族に心配をかけていることが申し訳ない。でも、どうすることもできない。
- 友人が離れていく。約束をドタキャンすることが多く、理解されず、疎遠になる。
- 恋愛が難しい。症状の波が、パートナーシップに影響する。「いつまで一緒にいてくれるだろう」と不安。
- 「自分は普通の人生を送れない」と思う。結婚、出産、安定した仕事など、「普通」が遠く感じる。
7. まとめ:共感と理解の大切さ
双極性障害を抱える人々は、様々な困難と向き合いながら生きています。この「あるある」に共感した当事者の方は、「自分だけじゃない」と感じていただけたでしょうか。
双極性障害は、目に見えない病気であり、周囲からは理解されにくいものです。しかし、多くの人が同じような経験をしており、孤独ではありません。
この記事を読んでくださった周囲の方々には、当事者の気持ちを少しでも理解し、温かく見守っていただければ幸いです。
双極性障害は、適切な治療と生活管理により、症状をコントロールし、充実した人生を送ることが可能な病気です。諦めず、自分のペースで、治療を続けていきましょう。
もし、この記事を読んで「自分も双極性障害かもしれない」と思った方は、精神科や心療内科を受診し、専門家の診断を受けることをお勧めします。
また、「死にたい」という気持ちが強い場合は、すぐに医療機関や相談窓口(いのちの電話など)に連絡してください。あなたは一人ではありません。
補足:双極性障害について
双極性障害とは
双極性障害は、躁状態(またはそれより軽い軽躁状態)とうつ状態を繰り返す気分障害です。
双極I型と双極II型
双極I型は、明確な躁状態を経験するタイプです。双極II型は、軽躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。
治療
気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など)を中心とした薬物療法と、心理社会的治療(心理教育、認知行動療法など)が行われます。
重要なこと
規則正しい生活リズム、十分な睡眠、ストレス管理、薬の継続服用が、症状の安定に非常に重要です。
自己判断で薬をやめたり、治療を中断したりすることは、再発のリスクを高めます。
主治医とよくコミュニケーションを取り、症状の変化を伝えることが大切です。
家族や友人のサポートも、回復の大きな助けになります。
支援
患者会やオンラインコミュニティなどで、同じ病気を持つ人々とつながることも、孤独感の軽減に役立ちます。
就労支援、障害年金、自立支援医療など、利用できる制度もあります。
まとめ
双極性障害は、適切な治療により、多くの人が安定した生活を送れる病気です。著名人の中にも、双極性障害を公表し、活躍している人がいます。
病気と向き合い、自分らしく生きることは可能です。諦めず、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

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