解離性同一性障害とは?特徴・症状・原因と治療・向き合い方をわかりやすく解説

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解離性同一性障害という言葉を聞いたことがあっても、実際にどういう疾患なのか、どんな症状があるのか、どのように診断され治療されるのかを正確に理解している人は多くありません。映画やドラマで誇張された形で描かれることが多いため、誤解も多い疾患です。この記事では、解離性同一性障害の特徴と症状、治療と向き合い方について解説します。

解離性同一性障害とはどういう疾患か

解離性同一性障害は、以前は多重人格障害と呼ばれていた疾患で、一人の人物のなかに二つ以上の異なるアイデンティティまたは人格状態が存在する疾患です。英語ではDissociative Identity DisorderといいDIDと略されます。

解離性同一性障害は解離という心理的なメカニズムによって生じます。解離とは、通常であれば統合されているはずの意識、記憶、感情、行動、アイデンティティ等が切り離される現象です。解離は深刻なストレスやトラウマへの心理的な防衛反応として生じることがあります。

解離性同一性障害は非常に深刻なトラウマ体験、特に幼少期に繰り返される虐待や深刻な放置との関連が強いことが知られています。耐えられないほどの苦痛から自分を守るための心理的な適応として、別のアイデンティティが形成されるという理解がされています。

解離性同一性障害の主な特徴と症状

複数のアイデンティティまたは人格状態の存在

解離性同一性障害の最も中心的な特徴は、二つ以上の異なるアイデンティティまたは人格状態が存在することです。それぞれのアイデンティティは独自の名前、年齢、性別、記憶、考え方、行動パターン、好みを持つことがあります。

アイデンティティの数は人によって異なり、二つから数百に及ぶ場合まで様々な報告があります。それぞれのアイデンティティが交代して身体の制御を担う状態をスイッチングと呼びます。

アイデンティティの種類として、幼い子どもの状態のもの、異なる性別のもの、攻撃的な特性を持つもの、特定の感情や役割を担うものといった様々な形があります。

記憶の断絶と記憶喪失

あるアイデンティティが主体となっていた時間の出来事を、別のアイデンティティが覚えていないという記憶の断絶が生じます。この断絶は通常の物忘れとは異なる程度のものです。

気づいたら知らない場所にいた、時間が飛んでいる、自分が行ったとは思えないことをした形跡がある、見覚えのない物を持っていたといった体験として現れることがあります。

数時間から数日、場合によってはより長い時間の記憶が全くないという状態が繰り返されることがあります。

離人感と現実感の喪失

自分が自分の体から切り離されているように感じる離人感、または周囲の現実感が薄れて夢の中にいるような感覚が生じることがあります。

自分が自分でないような感覚、自分の行動を外から見ているような感覚、周囲が現実ではないような感覚が繰り返し生じます。

フラッシュバックと侵入的な記憶

過去のトラウマ体験が突然鮮明によみがえるフラッシュバックが生じることがあります。視覚的なイメージだけでなく、音、臭い、身体感覚を伴う形で過去の体験が再体験される非常に苦痛な症状です。

声の体験

自分の頭の中で異なるアイデンティティの声が聞こえるという体験が報告されることがあります。統合失調症の幻聴とは異なり、外から聞こえる声ではなく頭の中から聞こえる声として体験されることが多いとされています。

ただし解離性同一性障害と統合失調症の区別は専門家による丁寧な評価が必要です。

感情や行動の急激な変化

説明のつかない感情や行動の急激な変化が生じることがあります。突然子どものように振る舞う、通常とは全く異なる話し方や態度になる、普段の自分とは全く異なる好みや反応を示すといった変化が周囲からも観察されることがあります。

身体症状

頭痛、記憶の空白に伴う混乱、疲労感、身体の一部が自分のものでないような感覚といった身体的な症状が伴うことがあります。

解離性同一性障害の診断

解離性同一性障害の診断はDSM-5の診断基準に基づいて行われます。主な診断要件として、二つ以上の異なるアイデンティティまたは人格状態の存在、日常生活や重要な個人的情報の記憶の反復的な断絶、症状が物質や他の医学的状態によるものではないことが必要です。

診断は非常に慎重に行われる必要があります。解離性同一性障害の症状は他の疾患、特にPTSD、境界性パーソナリティ障害、双極性障害、統合失調症等と症状が重なることがあるため、精神科または心療内科での専門的な評価が不可欠です。

診断に至るまでに複数の誤診を経るケースも報告されており、正確な診断のために経験豊富な専門家への相談が重要です。

解離性同一性障害の原因

解離性同一性障害は幼少期における深刻で反復的なトラウマとの関連が強いとされています。身体的虐待、性的虐待、情緒的虐待、深刻な放置等の体験が、解離性同一性障害の発症と強く関連していることが知られています。

幼少期に耐えられないほどの苦痛にさらされたとき、その苦痛を経験する部分を別のアイデンティティとして切り離すことで自分を守るという心理的な適応が生じると理解されています。

解離の能力は人によって異なり、解離しやすい特性と深刻なトラウマ体験が重なることで解離性同一性障害が発症すると考えられています。

全ての虐待の被害者が解離性同一性障害になるわけではなく、また解離性同一性障害のある全ての方が虐待の被害者というわけでもありませんが、深刻なトラウマとの関連は非常に強いとされています。

解離性同一性障害の治療

治療の基本的な方向性

解離性同一性障害の治療は長期的なプロセスとなることが多く、段階的なアプローチが基本となります。

治療の第一段階は安全と安定の確立です。安全な治療関係を築き、日常生活の安定を図ることが全ての治療の土台となります。

第二段階はトラウマの処理です。安全と安定が十分に確立された後に、トラウマ体験を慎重に処理していく段階です。

第三段階は統合と再統合です。異なるアイデンティティの間の協力関係を築き、より統合された状態に向けた作業を行います。

心理療法

解離性同一性障害の治療において心理療法が中心的な役割を担います。

トラウマに焦点を当てた認知行動療法では、トラウマに関連した思考パターンや感情への反応を扱い、症状の軽減と適応的な対処法の習得を目指します。

EMDRというトラウマ処理の技法が解離性同一性障害の治療にも活用されることがあります。眼球運動等を用いてトラウマ記憶の再処理を促す方法です。

内的家族システム療法は異なるアイデンティティまたは内的な部分との対話を通じて、内側の協力関係を築くことを目指す療法です。

弁証法的行動療法は感情のコントロール、対人関係のスキル、苦痛耐性等を高めることを目標とする療法で、症状の安定化に役立てられることがあります。

薬物療法

解離性同一性障害そのものに対して承認された薬はありませんが、うつ症状、不安症状、不眠、フラッシュバック等の関連症状を軽減するために薬が使用されることがあります。

SSRIや気分安定薬、睡眠薬等が症状に応じて選択されますが、薬物療法は心理療法の補助として位置づけられます。

日常生活での向き合い方

記憶の断絶への対処

記憶の断絶がある場合、日記をつけることが状況の把握に役立つことがあります。何が起きたか、誰と会ったか、何を話したかといったことを記録しておくことで、記憶の空白を埋める助けになります。

スマートフォンのメモやボイスレコーダーを活用して日常の記録を残すことも有効です。

安全な環境を整える

フラッシュバックや強い解離症状が生じたときに安心できる場所、落ち着ける方法をあらかじめ準備しておくことが重要です。安全な場所のイメージを持つ、特定の音楽を聴く、信頼できる人に連絡するといった対処法を事前に決めておくことが助けになります。

信頼できるサポーターを持つ

解離性同一性障害の症状と向き合いながら生活することは非常に困難を伴います。信頼できる家族や友人、支援者の存在が精神的な安定を支えます。

ただし全てのことを一人の人に頼ることは支援者への過剰な負担につながるため、複数のサポーターとのつながりを持つことが重要です。

トリガーへの対処

フラッシュバックや強い症状を引き起こすトリガーとなる刺激を把握しておくことが、症状の管理に役立ちます。特定の場所、音、臭い、言葉等がトリガーになることがあります。

トリガーを特定して可能な範囲で回避すること、またトリガーに直面したときの対処法を持っておくことが助けになります。

解離性同一性障害に関する誤解

解離性同一性障害はメディアで誇張された形で描かれることが多く、様々な誤解があります。

全ての人格が暴力的であるという誤解があります。実際には暴力的な行動をとるアイデンティティを持つ方は少数であり、多くの方は危険ではありません。

演技や詐称であるという誤解もあります。解離性同一性障害は実際に診断基準を満たす疾患であり、本人の意志でコントロールできるものではありません。

珍しい疾患であるという誤解があります。有病率は一般人口の一から三パーセント程度とする研究もあり、決して珍しくはないとされています。

治らない疾患であるという誤解もあります。解離性同一性障害は適切な治療によって症状が改善し、生活の質を高めることができます。

専門家への相談の重要性

解離性同一性障害の症状が疑われる場合は、精神科または心療内科への受診を検討してください。解離性同一性障害の治療経験がある専門家に相談することが重要です。

診断や治療について不安がある場合は、セカンドオピニオンを求めることも選択肢のひとつです。

支援機関として、解離やトラウマを専門とするカウンセリング機関や、当事者のコミュニティも精神的な支えとして活用できることがあります。

まとめ

解離性同一性障害は二つ以上の異なるアイデンティティまたは人格状態が存在し、記憶の断絶、離人感、フラッシュバック等の症状を伴う疾患です。幼少期の深刻で反復的なトラウマとの関連が強く、耐えられないほどの苦痛から自分を守るための心理的な適応として理解されています。心理療法を中心とした治療によって症状の改善と生活の質の向上が可能であり、長期的なプロセスではありますが回復への道があります。誤解や偏見が多い疾患だからこそ、正確な情報を持ち適切な専門家のサポートを受けることが重要です。一人で抱え込まず、信頼できる支援者とつながりながら回復への歩みを進めてください。

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