お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
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「障害のある子どもが、学校を卒業してから何もしていない」「家に引きこもって、何年も経つ」「働きたいとも言わない」「このままでいいのだろうか」「親が亡くなった後、どうなるのか」。障害のある子どもがニート状態にあることに、多くの親が深い悩みと不安を抱えています。
しかし、焦りや不安だけでは状況は変わりません。まずは現状を理解し、本人の気持ちに寄り添いながら、小さな一歩を踏み出すことが大切です。本記事では、障害者のニートの現状、親が抱える悩み、本人の気持ち、今できること、利用できる支援、そして将来への備えについて詳しく解説します。
障害者のニートとは
定義
働いておらず、学校にも行っていない状態
ニート(NEET: Not in Education, Employment or Training)とは、働いておらず、学校にも行っておらず、職業訓練も受けていない状態を指します。
障害者のニート
障害のある人がニート状態にある場合、以下のような状況が考えられます。
- 特別支援学校を卒業後、就職も福祉サービスの利用もしていない
- 一度は働いたが、辞めてから何もしていない
- 家に引きこもっている
- 日中は家でゲームやスマホをしている
- 昼夜逆転の生活
どのくらいいるのか
正確な統計はない
障害者のニートの正確な人数は把握されていませんが、相当数いると推測されます。
理由
- 就職が難しい
- 福祉サービスを知らない、利用していない
- 本人や家族が動かない
- 二次障害(うつ病など)がある
- 親が何とか養っている
親が抱える悩み
障害のある子どもがニート状態にあることで、親が抱える悩みは深刻です。
1. 将来への不安
親亡き後、どうなるのか
- 親が亡くなった後、この子はどうなるのか
- 一人で生活できないのではないか
- 経済的に困窮するのではないか
- 誰が面倒を見てくれるのか
2. 本人の人生への心配
このままでいいのか
- 何もしない日々でいいのか
- 社会から取り残されている
- 人生を無駄にしている
- 孤立している
3. 経済的な負担
いつまで養えるのか
- 親の収入だけで養い続けられるか
- 親が高齢になったらどうするか
- 貯金が減っていく
- 障害年金だけでは足りない
4. 自責感
自分の育て方が悪かったのか
- 自分を責める
- もっと何かできたのではないか
- 甘やかしすぎたのか
- 子どもに申し訳ない
5. 周囲の目
世間体が気になる
- 親戚や近所の目が気になる
- 「働かせないのか」と言われる
- 比較される
- 恥ずかしい
6. きょうだいへの影響
きょうだいに負担をかけている
- きょうだいに我慢をさせている
- きょうだいの結婚や将来に影響するのではないか
- きょうだいに面倒を見てもらうのか
7. 親自身の人生
自分の人生がない
- 子どもの面倒で自分の人生がない
- 趣味や友人関係を犠牲にしている
- 疲れた
8. どうすればいいかわからない
行き詰まり
- 何をすればいいかわからない
- どこに相談すればいいかわからない
- 何度も失敗している
- もう諦めている
本人の気持ち
親は「働いてほしい」と思っていますが、本人はどう思っているのでしょうか。
1. 働きたくない
理由
- 働くことへの不安や恐怖
- 過去の失敗体験(いじめ、パワハラ、解雇など)
- 自信がない
- 何をしたらいいかわからない
- 今の生活が楽
- 変化が怖い
2. 働きたいけれど動けない
理由
- どうすればいいかわからない
- 最初の一歩が踏み出せない
- 失敗が怖い
- 体力がない
- うつ状態
- 不安が強い
3. 親に申し訳ないと思っている
罪悪感
- 親に養ってもらっていることへの罪悪感
- 親に心配をかけている
- でも動けない
- 自分を責めている
4. 無気力
理由
- うつ病などの二次障害
- 長期間のニート生活で意欲が低下
- 生活リズムの乱れ
- 希望が持てない
5. 親に言えない本音
実は
- 働きたいと思っている
- このままではいけないと思っている
- でも怖い
- でも動けない
- 親にプレッシャーをかけられたくない
なぜニート状態になるのか
障害者がニート状態になる理由を理解しましょう。
1. 就職の困難
障害による困難
- 一般企業への就職が難しい
- 面接で落とされる
- 障害への理解がない
- 適切な仕事が見つからない
2. 福祉サービスを知らない
情報不足
- 就労継続支援B型などの福祉サービスを知らない
- 相談先がわからない
- 学校卒業後のサポートが途切れる
3. 本人の意欲の問題
働く意欲がない
- 働くことへの不安や恐怖
- 過去の失敗体験
- 今の生活が楽
- 親が何とかしてくれる
4. 二次障害
精神疾患の併発
- うつ病
- 不安障害
- 引きこもり
- 昼夜逆転
5. 生活リズムの乱れ
悪循環
- 昼夜逆転
- 運動不足
- 体力の低下
- ますます動けなくなる
6. 家族の過保護
親の問題
- 親が何でもやってしまう
- 親が諦めている
- 親が働かせることを諦めている
7. 社会的な孤立
つながりがない
- 友人がいない
- 相談相手がいない
- 社会とのつながりがない
今できること
親として、今できることがあります。
【重要】焦らない、責めない
最も大切なこと
焦って無理に働かせようとしても、逆効果です。
やってはいけないこと
- 「働け」と怒鳴る
- 「いつまで甘えているんだ」と責める
- 他人と比較する
- 無理やり仕事を探す
- 家から追い出す
代わりにすべきこと
- 本人の気持ちを聞く
- 本人のペースを尊重する
- 小さな一歩を認める
- 時間をかける
1. 本人の気持ちを聞く
対話する
まずは、本人の気持ちを聞きましょう。
質問例
- 「今、どんな気持ち?」
- 「働きたいと思う?」
- 「何か不安なことはある?」
- 「何かやりたいことはある?」
聞き方
- 責めない
- 否定しない
- じっくり聞く
- 本人のペースで
2. 相談する
専門家に相談
一人で抱え込まず、専門家に相談しましょう。
相談先
- 市区町村の障害福祉課
- 相談支援事業所
- 障害者就業・生活支援センター
- 発達障害者支援センター(発達障害の場合)
- 地域生活支援センター
- 精神科、心療内科(二次障害がある場合)
相談内容
- 現状を伝える
- どうすればいいか
- 利用できるサービス
- 支援の方法
3. 医療機関を受診する
二次障害のチェック
うつ病などの二次障害がある場合、まず治療が必要です。
受診する診療科
- 精神科
- 心療内科
サイン
- 気分が落ち込んでいる
- 何もする気が起きない
- 不安が強い
- 眠れない、または眠りすぎる
- 食欲がない、または過食
- 自殺を考える
これらがある場合は、すぐに受診してください。
4. 生活リズムを整える
まずは基本から
働く前に、まず生活リズムを整えることが大切です。
方法
- 朝、決まった時間に起きる
- 朝日を浴びる
- 3食きちんと食べる
- 適度な運動(散歩など)
- 夜、決まった時間に寝る
- スマホやゲームの時間を減らす
親ができること
- 朝、声をかける
- 一緒に食事をする
- 散歩に誘う
- 無理強いはしない
5. 小さな目標を作る
いきなり「働く」ではなく
いきなり「働く」を目標にするのではなく、小さな目標から始めましょう。
目標の例
- 朝、決まった時間に起きる
- 散歩に行く
- 家事の手伝いをする
- 図書館に行く
- 趣味の活動をする
ポイント
- 達成できる目標
- 本人と一緒に決める
- 達成したら褒める
6. 家事を手伝ってもらう
役割を持つ
家事を手伝ってもらうことで、役割を持ち、自己肯定感が上がります。
例
- 食事の準備
- 洗濯
- 掃除
- ゴミ出し
- 買い物
ポイント
- できることから
- 感謝を伝える
- 完璧を求めない
7. 外出の機会を作る
社会とのつながり
外出の機会を作ることで、引きこもりを防ぎます。
方法
- 一緒に買い物に行く
- 一緒に散歩する
- 図書館に行く
- 趣味のサークルに参加する
- 地域のイベントに参加する
8. 福祉サービスを検討する
働く以外の選択肢
「働く」以外にも、日中の居場所となる福祉サービスがあります。
選択肢
- 地域活動支援センター(創作活動、交流)
- 生活介護(常時介護が必要な場合)
- 自立訓練(生活訓練)(生活スキルの訓練)
- 就労移行支援(一般就労を目指す訓練)
- 就労継続支援B型(自分のペースで働く)
ポイント
- まずは見学
- 体験利用
- 本人の希望を尊重
9. きょうだいに負担をかけすぎない
きょうだいの人生も大切
きょうだいがいる場合、きょうだいだけに負担をかけないようにしましょう。
方法
- きょうだいの気持ちを聞く
- きょうだいの人生を尊重する
- 福祉サービスを活用する
- 親亡き後の計画を立てる(後述)
10. 親自身のケア
自分を大切にする
親自身も、ストレスを抱えています。自分を大切にしましょう。
方法
- 休息を取る
- 趣味や楽しみの時間を作る
- 家族会やピアサポートに参加する
- カウンセリングを受ける
- 友人と会う
利用できる支援制度
障害者のニートが利用できる支援制度を紹介します。
1. 相談支援事業所
継続的な相談相手
相談支援専門員が、継続的に相談に乗り、支援計画を作成します。
内容
- 生活全般の相談
- サービス等利用計画の作成
- サービス事業所との調整
- 定期的なモニタリング
費用
- 無料
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
2. 地域活動支援センター
日中の居場所
創作活動や交流の場です。
内容
- 創作活動
- 軽作業
- 交流
- 相談
費用
- 無料または低額
3. 自立訓練(生活訓練)
生活スキルの訓練
一人暮らしや社会生活に必要なスキルを訓練します。
内容
- 生活リズムの改善
- 金銭管理
- 対人関係
- 体力づくり
期間
- 標準2年(最長3年)
費用
- 原則1割負担
- 所得に応じて月額上限あり
4. 就労移行支援
一般就労を目指す訓練
一般企業への就職を目指して訓練を受けます。
内容
- 職業訓練
- ビジネスマナー
- 就職活動のサポート
- 就職後の定着支援
期間
- 標準2年(最長3年)
注意点
- 本人の就労意欲が必要
- まだ働く準備ができていない場合は、他のサービスから
5. 就労継続支援B型
自分のペースで働く
雇用契約を結ばず、自分のペースで働きます。
内容
- 軽作業、清掃、食品製造など
- 工賃(平均月額約1.6万円)
メリット
- 自分のペースで働ける
- 日中の居場所
- 社会とのつながり
6. 障害基礎年金
経済的支援
障害基礎年金を受給できる場合があります。
金額
- 1級:月額約81,000円
- 2級:月額約65,000円
受給要件
- 20歳以上
- 障害の状態が1級または2級に該当
申請方法
- 市区町村の年金窓口
7. 生活保護
最後のセーフティネット
収入が最低生活費に満たない場合、生活保護を受けられます。
申請方法
- 市区町村の福祉事務所
8. ひきこもり地域支援センター
ひきこもりの相談
ひきこもり状態にある場合、専門の相談機関があります。
内容
- ひきこもりに関する相談
- 訪問支援
- 家族支援
所在地
- 各都道府県・指定都市に設置
将来への備え
親亡き後を見据えて、今から準備しておくことがあります。
1. 情報をまとめる
ライフプランノート
子どもの情報をまとめておきましょう。
内容
- 基本情報
- 障害の状態、特性
- 病歴、服薬
- 利用している福祉サービス
- 相談支援事業所の連絡先
- 経済状況
- 親族の連絡先
- 親亡き後の希望
2. 障害者扶養共済制度への加入
終身年金の確保
親が掛け金を払い、親亡き後に子どもに年金が支給される制度です。
内容
- 掛金:月額9,300円~23,300円(親の年齢による)
- 年金:月額2万円(1口)
申請方法
- 都道府県・指定都市の障害福祉課
3. 遺言書の作成
財産の分け方を明確に
遺言書を作成することで、親の意思を明確にできます。
相談先
- 弁護士、司法書士
4. 成年後見制度の検討
法的な保護
判断能力が不十分な場合、成年後見制度を検討しましょう。
申請方法
- 家庭裁判所
5. 住まいの確保
グループホームや施設
親亡き後の住まいを考えておきましょう。
選択肢
- グループホーム
- 入所施設
- 一人暮らし(支援付き)
6. 相談支援専門員との関係構築
継続的な相談相手
相談支援専門員と関係を築いておくことで、親亡き後も継続的な支援が受けられます。
相談窓口
障害者のニートについて相談したい場合、以下の窓口に相談しましょう。
市区町村の障害福祉課
- 制度の説明
- サービスの案内
- 相談支援事業所の紹介
相談支援事業所
- 生活全般の相談
- 継続的なサポート
障害者就業・生活支援センター
- 就労と生活の両面支援
発達障害者支援センター
- 発達障害専門の相談(発達障害の場合)
ひきこもり地域支援センター
- ひきこもりの相談
家族会
- ピアサポート
- 情報交換
まとめ
障害者のニートの子を持つ親は、将来への不安、本人の人生への心配、経済的な負担、自責感、周囲の目、きょうだいへの影響など、多くの悩みを抱えています。しかし、焦って無理に働かせようとしても逆効果です。
まずは本人の気持ちを聞き、専門家に相談し、必要なら医療機関を受診し、生活リズムを整え、小さな目標を作り、家事を手伝ってもらい、外出の機会を作り、福祉サービスを検討することが大切です。
利用できる支援には、相談支援事業所、地域活動支援センター、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援B型、障害基礎年金、生活保護、ひきこもり地域支援センターなどがあります。
親亡き後を見据えて、情報をまとめる、障害者扶養共済制度への加入、遺言書の作成、成年後見制度の検討、住まいの確保、相談支援専門員との関係構築などの準備も必要です。
一人で抱え込まず、専門家や同じ悩みを持つ家族と繋がりながら、本人と一緒に小さな一歩を踏み出していきましょう。
主な相談窓口
市区町村の障害福祉課
- 制度の説明、サービスの案内
相談支援事業所
- 生活全般の相談、継続的なサポート
ひきこもり地域支援センター
- ひきこもりの相談
一人で悩まず、必ず相談してください。

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