お子さんの将来を考え、B型施設を探している保護者の方へ
障害のあるお子さんに合った選択をするために、まず知っておきたい基本ガイド
初めての方は、基礎知識と不安解消をセットで押さえると安心です。
まず読むべき基礎知識5記事
施設選びでつまずきやすいポイント5記事
仕事が続かない、何度も転職を繰り返す、職場の人間関係がうまくいかない、ミスが多くて怒られる、指示が理解できない、マルチタスクができない。発達障害のある大人が「働けない」と悩んでいるケースは少なくありません。
しかし、「働けない」のではなく、「今の環境や働き方が合っていない」だけかもしれません。
適切な理解、支援、そして自分に合った働き方を見つけることで、多くの発達障害のある人が働くことができます。本記事では、発達障害の大人が働けない理由、特性別の困難、利用できる支援制度、向いている仕事、そして働き続けるための工夫について詳しく解説します。
発達障害とは
まず、発達障害について基本的な理解をしましょう。
主な発達障害の種類
ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群を含む)
- コミュニケーションの困難
- 社会性の困難
- こだわりの強さ
- 感覚過敏または鈍麻
ADHD(注意欠如・多動症)
- 不注意(集中できない、忘れっぽい、ケアレスミスが多い)
- 多動性(じっとしていられない、落ち着きがない)
- 衝動性(思いついたら即行動、我慢できない)
LD(学習障害)
- 読字障害(ディスレクシア)
- 書字障害
- 算数障害
併存することも多い
ASDとADHDなど、複数の発達障害が併存することもあります。
発達障害の特徴
生まれつきの脳の特性
- 病気ではなく、生まれつきの脳の特性
- 治るものではないが、適切な支援で困難を軽減できる
- 能力の凸凹が大きい(得意なことと苦手なことの差が大きい)
大人になってから診断される人も多い
- 子どもの頃は気づかれなかった
- 社会に出て困難に直面して気づく
- 二次障害(うつ病、不安障害など)で受診して発覚
発達障害の大人が「働けない」理由
発達障害のある大人が働くことに困難を感じる理由を理解しましょう。
1. 特性による困難
ASDの場合
コミュニケーションの困難
- 暗黙のルールが理解できない
- 空気を読めない
- 言葉を文字通りに受け取る
- 雑談が苦手
- 指示が曖昧だと理解できない
社会性の困難
- 人間関係が築けない
- チームワークが苦手
- 上司や同僚との関係がうまくいかない
こだわりの強さ
- 自分のやり方にこだわる
- 変化が苦手
- 臨機応変な対応ができない
- マニュアル通りでないと不安
感覚過敏
- 音、光、匂い、触覚などに過敏
- オープンオフィスが辛い
- 服のタグが気になる
- 蛍光灯の光が辛い
ADHDの場合
不注意
- 仕事でケアレスミスが多い
- 忘れ物が多い
- 約束を忘れる
- 時間管理ができない
- 締め切りに間に合わない
- 集中力が続かない
多動性
- じっとしていられない
- 会議中に落ち着かない
- 長時間のデスクワークが辛い
衝動性
- 思いついたら即行動
- 計画性がない
- 優先順位がつけられない
- 衝動的な発言で人間関係のトラブル
LDの場合
読み書きの困難
- 資料を読むのに時間がかかる
- 報告書を書くのが苦手
- メールの文章が理解できない
計算の困難
- 数字の扱いが苦手
- 経理や会計の仕事が難しい
2. 二次障害
精神疾患の併発
発達障害そのものよりも、二次障害が「働けない」原因になっていることがあります。
主な二次障害
- うつ病
- 不安障害
- パニック障害
- 適応障害
- 強迫性障害
- 依存症(アルコール、ギャンブルなど)
二次障害が起きる理由
- 繰り返される失敗体験
- 周囲からの理解が得られない
- 「怠けている」「やる気がない」と責められる
- 自己肯定感の低下
- 過度なストレス
3. 職場環境の問題
発達障害への理解不足
職場が発達障害への理解がない場合、働き続けることが困難になります。
具体例
- 配慮してもらえない
- 「甘え」「やる気がない」と言われる
- ハラスメントを受ける
- 孤立する
仕事内容のミスマッチ
本人の特性と仕事内容が合っていない場合、困難が大きくなります。
具体例
- マルチタスクが求められる仕事(ADHDには困難)
- 対人スキルが必要な仕事(ASDには困難)
- 曖昧な指示が多い仕事(ASDには困難)
- 細かい注意が必要な仕事(ADHDには困難)
4. 診断や支援の遅れ
大人になってから気づく
子どもの頃に診断されず、大人になってから気づくケースが多くあります。
問題点
- 適切な支援を受けないまま社会に出る
- 失敗体験を重ねる
- 自己肯定感が低い
- 二次障害を発症している
診断を受けていない
発達障害であることに気づいていない、または診断を受けていない場合もあります。
問題点
- 自分の特性が理解できない
- 適切な対処法がわからない
- 障害者雇用や福祉サービスが利用できない
5. 自己理解の不足
自分の特性を理解していない
自分の得意なこと、苦手なこと、必要な配慮を理解していない場合、適切な対処ができません。
6. 経済的・社会的な要因
生活の困窮
- 働けないことで経済的に困窮
- ストレスが増す
- 悪循環に陥る
孤立
- 社会から孤立
- 相談相手がいない
- 情報が得られない
発達障害の大人が利用できる支援
発達障害のある大人が利用できる支援制度やサービスがあります。
1. 診断を受ける
専門医の受診
まずは、専門医の診断を受けましょう。
受診する診療科
- 精神科
- 心療内科
- 発達障害専門外来
診断のメリット
- 自分の特性が理解できる
- 適切な対処法がわかる
- 障害者手帳が取得できる(可能な場合)
- 障害者雇用や福祉サービスが利用できる
- 自立支援医療が利用できる
診断書の取得
診断書があれば、職場に配慮を求めやすくなります。
2. 障害者手帳の取得
精神障害者保健福祉手帳
発達障害で障害者手帳を取得できる場合があります。
メリット
- 障害者雇用枠で就職できる
- 障害福祉サービスが利用できる
- 税金の控除
- 公共交通機関の割引
- 自立支援医療の利用
等級
- 1級~3級(発達障害の場合、多くは2級または3級)
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
3. 就労移行支援
一般就労を目指す訓練
就労移行支援は、一般企業への就職を目指して訓練を受ける場所です。
内容
- 職業訓練(PC操作、軽作業、事務作業など)
- ビジネスマナー
- コミュニケーションスキル
- 自己理解(自分の特性を知る)
- ストレスマネジメント
- 履歴書の書き方、面接練習
- 企業実習
- 就職活動のサポート
- 就職後の定着支援(6か月~最長3年)
期間
- 標準2年(最長3年)
対象
- 一般就労を希望し、可能と見込まれる人
- 原則18歳以上65歳未満
費用
- 原則1割負担
- 所得に応じて月額上限あり(実質的に多くの人は無料)
発達障害専門の事業所も
発達障害に特化した就労移行支援事業所もあります。
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
4. 就労継続支援A型・B型
福祉的就労
一般就労が難しい場合、就労継続支援で働くことができます。
A型(雇用契約あり)
- 最低賃金以上の給与(月額約8万円程度)
- 雇用契約を結ぶ
B型(雇用契約なし)
- 工賃(平均月額約1.6万円、事業所により異なる)
- 自分のペースで働ける
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
5. 障害者雇用
企業の障害者雇用枠
障害者手帳があれば、障害者雇用枠で就職できます。
メリット
- 配慮を受けやすい
- 長く働ける
- 支援機関のサポートがある
デメリット
- 給与が低い場合がある
- 職種が限られる場合がある
- 企業によって質が異なる
探し方
- ハローワークの障害者窓口
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援事業所
- 障害者向け転職サイト
6. ハローワークの障害者窓口
専門の窓口
ハローワークには、障害者専門の窓口があります。
内容
- 求人情報の提供
- 職業相談
- 職業紹介
- トライアル雇用の紹介
- 障害者向け就職面接会
7. 障害者就業・生活支援センター
就労と生活の両面支援
就労と生活の両面を支援する機関です。
内容
- 就労に関する相談
- 生活に関する相談
- 就職活動のサポート
- 職場定着支援
- 関係機関との連絡調整
費用
- 無料
所在地
- 全国に約340か所
8. ジョブコーチ(職場適応援助者)
職場での支援
職場に適応できるよう支援する専門家です。
内容
- 職場での作業指導
- 職場の環境調整
- 上司や同僚への助言
- 本人へのカウンセリング
期間
- 数か月程度
費用
- 無料
9. 発達障害者支援センター
発達障害専門の相談機関
発達障害に特化した相談機関です。
内容
- 発達障害に関する相談
- 就労に関する相談
- 生活に関する相談
- 関係機関の紹介
費用
- 無料
所在地
- 各都道府県・指定都市に設置
10. 自立支援医療(精神通院医療)
医療費の軽減
精神科や心療内科の通院医療費を1割負担にする制度です。
対象
- 発達障害
- うつ病などの二次障害
申請方法
- 市区町村の障害福祉課
11. カウンセリング
心理的サポート
カウンセリングを受けることで、心理的なサポートが得られます。
内容
- ストレスマネジメント
- 自己理解
- 対人関係のスキル
- 認知行動療法
発達障害の大人に向いている仕事
発達障害の特性によって、向いている仕事が異なります。
ASDに向いている仕事
特性を活かせる仕事
- プログラマー、システムエンジニア(論理的思考、集中力)
- データ分析(正確性、集中力)
- 研究職(こだわり、集中力)
- 図書館司書(静かな環境、ルーティン)
- 校正・校閲(細部への注意、正確性)
- 清掃(ルーティン、一人で作業)
- 工場のライン作業(ルーティン)
- イラストレーター、デザイナー(創造性)
- 動物関係の仕事(対人より対動物)
避けた方がいい仕事
- 営業(対人スキル、臨機応変な対応)
- 接客業(対人スキル、マルチタスク)
- 管理職(対人スキル、マネジメント)
ADHDに向いている仕事
特性を活かせる仕事
- クリエイティブ職(アイデア、発想力)
- 企画職(発想力)
- ジャーナリスト、ライター(興味の幅、行動力)
- 営業(行動力、コミュニケーション力)※向き不向きあり
- イベントプランナー(行動力、発想力)
- 起業家(行動力、チャレンジ精神)
- カメラマン(興味の幅、行動力)
- 配達員(動き回る仕事)
避けた方がいい仕事
- 経理、会計(細かい注意、ミスが許されない)
- 事務職(ルーティン、細かい作業)
- 品質管理(細かい注意)
共通して向いている働き方
在宅勤務
- 通勤のストレスがない
- 自分のペースで働ける
- 感覚過敏への配慮がしやすい
フリーランス
- 自分のペースで働ける
- 得意なことに特化できる
- 人間関係のストレスが少ない
障害者雇用
- 配慮を受けやすい
- 長く働ける
働き続けるための工夫
発達障害のある人が働き続けるための工夫を紹介します。
1. 自己理解を深める
自分の特性を知る
- 得意なこと、苦手なこと
- 必要な配慮
- ストレスのサイン
方法
- 診断を受ける
- 心理検査を受ける
- カウンセリング
- 自己分析
2. 職場に配慮を求める
オープンにする
障害をオープンにして、必要な配慮を求めることが大切です。
配慮の例(ASD)
- 指示は具体的に、文字で伝える
- 静かな環境、個室の提供
- ルーティンワークの提供
- 変更は事前に伝える
配慮の例(ADHD)
- 締め切りの管理をサポート
- タスクの優先順位をつける手伝い
- チェックリストの活用
- 定期的な確認
3. 工夫やツールの活用
自分で工夫する
- スケジュール管理アプリ
- リマインダー
- チェックリスト
- タイマー
- ノイズキャンセリングイヤホン
- メモを取る習慣
- タスクを細分化する
4. 相談できる人を作る
サポート体制
- 職場の上司や同僚
- ジョブコーチ
- 障害者就業・生活支援センター
- カウンセラー
- 家族や友人
5. ストレスマネジメント
ストレスを溜めない
- 十分な睡眠
- 適度な運動
- 趣味やリラックスの時間
- カウンセリング
6. 二次障害の治療
精神疾患の治療
うつ病などの二次障害がある場合は、治療を優先しましょう。
7. 無理をしない
限界を知る
無理をすると悪化します。限界を知り、休むことも大切です。
相談窓口
発達障害で働けないと悩んだら、以下の窓口に相談しましょう。
発達障害者支援センター
- 発達障害専門の相談機関
- 各都道府県・指定都市に設置
障害者就業・生活支援センター
- 就労と生活の両面支援
ハローワークの障害者窓口
- 求人情報、職業相談
市区町村の障害福祉課
- 制度の説明、サービスの案内
精神科、心療内科
- 診断、治療
当事者会
- ピアサポート、情報交換
まとめ
発達障害の大人が「働けない」理由は、特性による困難、二次障害、職場環境の問題、診断や支援の遅れ、自己理解の不足など、さまざまです。しかし、適切な診断、支援、そして自分に合った働き方を見つけることで、働くことは可能です。
利用できる支援には、診断を受ける、障害者手帳の取得、就労移行支援、就労継続支援、障害者雇用、ハローワークの障害者窓口、障害者就業・生活支援センター、ジョブコーチ、発達障害者支援センター、自立支援医療、カウンセリングなどがあります。
発達障害の特性に合った仕事を選び、自己理解を深め、職場に配慮を求め、工夫やツールを活用し、相談できる人を作り、ストレスマネジメントをし、二次障害の治療をし、無理をしないことが、働き続けるために重要です。
一人で抱え込まず、専門機関や支援者に相談しながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
主な相談窓口
発達障害者支援センター
- 各都道府県・指定都市に設置
障害者就業・生活支援センター
- 就労と生活の両面支援
ハローワークの障害者窓口
- 求人情報、職業相談
一人で悩まず、必ず相談してください。

コメント