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「就労継続支援B型を複数の事業所で利用できるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。一つの事業所だけでは作業量が少ない、異なる種類の作業を経験したい、収入を増やしたい、こうした理由から、複数の事業所を掛け持ちしたいと考える人もいるでしょう。
結論から言うと、就労継続支援B型の複数利用は、制度上は可能ですが、様々な制約や条件があり、実際には簡単ではありません。市町村の判断、受給者証の日数制限、事業所の受け入れ体制など、クリアすべき課題が多く存在します。
本記事では、B型事業所の複数利用に関する制度、実際の可能性、メリットとデメリット、複数利用を実現するための方法、そして他の選択肢について詳しく解説していきます。
就労継続支援B型の複数利用とは
定義
複数利用とは、同時に2つ以上のB型事業所と利用契約を結び、それぞれの事業所で作業を行うことを指します。
例
事業所Aで週3日データ入力、事業所Bで週2日パン製造
午前中は事業所Aで作業、午後は事業所Bで作業
事業所Aで在宅勤務、事業所Bで通所作業
制度上の可否
基本的には可能
厚生労働省の通知によれば、就労継続支援B型の複数利用は、一定の条件を満たせば可能とされています。
ただし、原則は一事業所
障害福祉サービスは、基本的には一つの事業所を利用することが原則とされています。複数利用は、あくまでも例外的な対応です。
市町村の判断
複数利用が認められるかどうかは、最終的には市町村の判断になります。自治体によって対応が異なるため、まずはお住まいの市町村の障害福祉窓口に確認する必要があります。
複数利用が認められる可能性がある理由
市町村が複数利用を認める可能性があるのは、以下のような場合です。
1. 専門性の異なる訓練が必要
異なるスキルの習得:事業所Aでパソコンスキル、事業所Bで接客スキルなど、異なる専門性を身につける必要がある
多様な経験:将来の一般就労に向けて、多様な職種を経験したい
2. 一つの事業所では作業量が不足
作業が少ない:一つの事業所では作業量が少なく、収入が極端に低い
暇な時間が多い:週2日しか通えない、1日2時間しか作業がないなど
3. 段階的な移行のため
ステップアップ:現在のB型事業所で基礎を学びながら、より高度な作業をする別のB型に移行準備
就労移行支援との併用:B型で安定した収入を得ながら、就労移行支援で就職準備(※これは厳密には「B型の複数利用」ではなく「異なるサービスの併用」)
4. 地理的な理由
住所が変わった:引っ越したが、元の事業所も継続したい
複数の地域を行き来:家族の介護などで複数の地域を行き来している
5. 特別な事情
障害特性:特定の作業が長時間できない、環境の変化が必要など
医療的な理由:特定の日は通院があるため、柔軟な利用が必要
複数利用の制約と課題
1. 受給者証の日数制限
上限日数:受給者証には、1ヶ月に利用できる日数の上限が記載されています(例:月23日まで)
日数の配分:複数の事業所を利用する場合、この上限日数の範囲内で配分する必要があります
例:月23日の上限の場合、事業所Aで12日、事業所Bで11日、など
1日に複数は基本的に不可:同じ日に複数の事業所を利用することは、基本的には認められません(給付費の重複請求になるため)
2. 市町村の承認
サービス等利用計画:複数利用の必要性を明記したサービス等利用計画を作成し、市町村の承認を得る必要があります
合理的な理由:なぜ複数利用が必要なのか、合理的な理由を説明する必要があります
市町村によって対応が異なる:積極的に認める自治体もあれば、原則認めない自治体もあります
3. 事業所の受け入れ
事業所の承諾:両方の事業所が、複数利用を了承する必要があります
定員の問題:事業所の定員に空きがあるか
スケジュール調整:事業所同士のスケジュール調整が必要
事業所が嫌がる可能性:事業所によっては、「うちだけを利用してほしい」と複数利用を嫌がることもあります
4. 給付費の問題
重複請求の禁止:同じ日に複数の事業所が給付費を請求することはできません
事業所間の調整:どちらの事業所がどの日の給付費を請求するか、明確にする必要があります
5. 相談支援専門員の調整
計画相談支援:複数利用をする場合、相談支援専門員が両事業所との調整、スケジュール管理、モニタリングを行う必要があり、負担が大きくなります
複数利用のメリット
利用者にとってのメリット
収入の増加:両方の事業所で工賃を得られるため、収入が増える可能性
多様なスキル習得:異なる作業を経験することで、多様なスキルが身につく
作業量の確保:一つの事業所で作業が少なくても、合計で十分な作業量を確保できる
リスク分散:一つの事業所が休業や閉鎖しても、もう一つがある
人間関係の選択肢:一つの事業所で人間関係が合わなくても、もう一つがある
刺激や変化:異なる環境で作業することで、刺激や変化がある
複数利用のデメリット
利用者にとってのデメリット
スケジュール管理が複雑:どの日にどちらの事業所に行くか、管理が複雑
移動の負担:異なる場所に通所する場合、移動の負担が増える
疲労:複数の環境に適応する必要があり、疲れやすい
両方の人間関係:両方の事業所で人間関係を築く必要がある
手続きが煩雑:契約、報告、手続きが2倍になる
集中できない:一つのことに集中しにくい
事業所にとってのデメリット
スケジュール調整:他の事業所との調整が必要
利用者の帰属意識が薄い:「うちの利用者」という意識が薄くなる
給付費収入の減少:フルタイムで利用してもらえないため、給付費収入が減る
複数利用を実現するための手順
1. 相談支援専門員に相談
まず、サービス等利用計画を作成している相談支援事業所の相談支援専門員に相談しましょう。
希望を伝える:なぜ複数利用したいのか、理由を説明
実現可能性の確認:市町村や事業所の状況を踏まえ、実現可能か相談
計画の作成:複数利用を含めたサービス等利用計画を作成してもらう
2. 市町村に確認
相談支援専門員を通じて、または直接、市町村の障害福祉窓口に確認します。
制度の確認:その自治体で複数利用が認められているか
必要な手続き:どのような手続きが必要か
受給者証の日数:現在の受給者証の日数で複数利用が可能か
3. 事業所を探す・相談する
複数利用を受け入れてくれる事業所を探します。
現在の事業所に相談:今利用している事業所に、複数利用したい旨を伝える
新しい事業所を探す:複数利用に理解のある事業所を探す
両方の事業所の承諾:両方の事業所から承諾を得る
4. サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が、複数利用を含めたサービス等利用計画を作成します。
必要性の明記:なぜ複数利用が必要か、明確に記載
スケジュール:どのようなスケジュールで利用するか
目標:複数利用を通じて、どのような目標を達成するか
5. 市町村への申請
サービス等利用計画を添えて、市町村に申請します。
受給者証の変更:複数の事業所名が記載された受給者証に変更
支給決定:市町村が支給決定を行う
6. 両事業所と契約
受給者証が交付されたら、両方の事業所と利用契約を結びます。
契約書の作成:それぞれの事業所と契約書を交わす
スケジュールの確認:具体的な利用日、時間を確認
給付費の請求:どちらの事業所がいつ請求するか、明確にする
7. 利用開始
両方の事業所での利用を開始します。
定期的なモニタリング:相談支援専門員が定期的に状況を確認
調整:必要に応じて、スケジュールや内容を調整
複数利用以外の選択肢
複数利用が難しい、または認められない場合、以下の選択肢も検討しましょう。
1. 事業所を変える
今の事業所が合わないなら、別のB型事業所に完全に移ることも選択肢です。
作業量が多い事業所:十分な作業量がある事業所を探す
多様な作業がある事業所:一つの事業所で複数の作業ができる
高工賃事業所:工賃が高い事業所を探す
2. 就労継続支援A型への移行
B型よりも作業時間が長く、給料も高いA型への移行を検討します。
雇用契約:最低賃金以上の給料が保障される
週5日勤務:より多く働ける
3. 就労移行支援との併用
B型で収入を得ながら、就労移行支援で就職準備をする(※市町村の承認が必要)
2年間の期限:就労移行支援は最長2年
一般就労への準備:本格的に一般就労を目指す
4. 在宅ワーク(副業)との併用
B型での作業に加えて、個人で在宅ワークを行う
クラウドソーシング:ランサーズ、クラウドワークスなど
ハンドメイド販売:メルカリ、minneなど
注意:収入が増えると、障害年金や生活保護への影響がある場合があるため、事前に確認が必要
5. 一般就労
本格的に働きたいなら、一般企業の障害者雇用枠での就職を目指す
給料が高い:最低賃金以上
キャリア形成:社会人としてのキャリアが積める
よくある質問
Q1:同じ日に午前と午後で別の事業所を利用できますか?
A:基本的にはできません。給付費の重複請求になるため、原則として1日1事業所です。ただし、自治体によっては例外的に認める場合もあるため、市町村に確認してください。
Q2:B型とA型を併用できますか?
A:できません。B型とA型は同時利用できないとされています。どちらか一方を選ぶ必要があります。
Q3:B型と就労移行支援を併用できますか?
A:原則としてできませんが、例外的に市町村が認める場合があります。相談支援専門員や市町村に相談してください。
Q4:複数利用すると工賃は2倍になりますか?
A:両方で工賃がもらえますが、単純に2倍にはなりません。それぞれの事業所で作業した分の工賃が支払われます。ただし、受給者証の日数制限があるため、合計の日数は限られます。
まとめ
就労継続支援B型の複数利用は、制度上は可能ですが、受給者証の日数制限、市町村の承認、事業所の受け入れなど、様々な制約があり、実際には簡単ではありません。
複数利用を実現するには、まず相談支援専門員に相談し、市町村の制度を確認し、両方の事業所の承諾を得て、サービス等利用計画を作成し、市町村の承認を得るという手順が必要です。
複数利用が難しい場合は、事業所を変える、A型への移行、就労移行支援の利用、在宅ワークとの併用、一般就労など、他の選択肢も検討しましょう。
大切なのは、自分が何を望んでいるのか、なぜ複数利用したいのかを明確にし、相談支援専門員や市町村と相談しながら、自分に合った働き方を見つけることです。
あなたに合った働き方が見つかり、充実した日々を過ごせることを心から願っています。
相談先
- 相談支援事業所:サービス等利用計画を作成している相談支援専門員
- 市町村障害福祉窓口:お住まいの市町村の障害福祉課

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