障害者転職で就労パスポートを書く方法|配慮と強みを整理する手順

絶対に読むべき必読記事

障害者転職では、自分の得意なこと、仕事で困りやすい場面、希望する配慮を、どこまで・どのように伝えるかで迷うことがあります。履歴書や職務経歴書だけでは、働くうえでの工夫や支援の希望を整理しにくい場合に活用できるのが、厚生労働省が案内する就労パスポートです。

就労パスポートは、障害のある人が、自身の特徴、アピールポイント、希望する配慮を支援機関と一緒に整理し、事業主などに分かりやすく伝えるためのツールです。採用選考時の必須提出書類ではありません。作成・活用の主体は本人であり、誰に、いつ、どの範囲を共有するかも、自分の目的に応じて考えることが重要です。

この記事では、就労パスポートと応募書類の役割の違い、書く前の準備、記載を整理する順番、面接や職場実習で活用するときの注意点を解説します。

就労パスポートとは|履歴書・職務経歴書との役割の違い

必須提出書類ではなく、本人のための情報共有ツール

履歴書や職務経歴書は、応募する職種に対して、経歴、スキル、経験、志望理由を伝える書類です。一方で就労パスポートは、働く場面で発揮しやすい力、苦手になりやすい状況、体調管理で意識していること、希望する配慮などを整理するためのツールです。企業に提出することだけが目的ではなく、自分自身の整理や、支援機関との相談にも使えます。

そのため、応募のたびに履歴書の代わりとして一律に渡すものではありません。たとえば、職場実習前に担当者へ説明したい、面接で必要な項目だけを伝えたい、入社後に上司や支援者と認識をそろえたいなど、使う場面を決めてから内容を整えます。

作成目的を三つに分ける

書き始める前に、「自己理解を深めるため」「支援機関に相談するため」「企業に必要な範囲を伝えるため」のどれを主な目的にするか考えます。目的が決まると、書くべき情報と詳しさが整理しやすくなります。企業に共有する可能性がある場合でも、最初からすべてを開示する必要はありません。

書き始める前に決めたい共有目的と範囲

どの場面で使うかを先に考える

就労パスポートは、就職活動だけでなく、職場実習前、採用面接、就職後の業務説明や環境の変化があったときにも活用できます。面接で使う場合は、応募職種の業務に関係する部分を確認するためのメモとして準備するとよいでしょう。就職後に使う場合は、作業指示、コミュニケーション、体調管理など、日々の業務に結び付く内容が中心になります。

共有相手と見せる内容は本人が決める

記載内容には個人的な情報が含まれることがあります。支援機関と共有するのか、企業の採用担当者に一部を説明するのか、就職後に現場の上司へ伝えるのかを分けて考えましょう。共有前には、誰が見るのか、何のために使うのか、書面を渡すのか口頭で要点を伝えるのかを確認します。不安があるときは、支援者と内容を見直してから進める方法があります。

就労パスポートの書き方|4つの順番

1. 仕事で発揮しやすい強みを集める

まずは「できること」から書き出します。「正確な入力を続けられる」「手順が決まると集中しやすい」「確認を挟むことでミスを防げる」のように、過去の仕事、実習、訓練、日常での事実をもとにします。抽象的な長所だけで終わらせず、どのような場面で力を発揮しやすいかを添えると、応募職種との関係を考えやすくなります。

2. 困りやすい場面は「状況・影響・工夫」で整理する

困りごとは、障害名だけで説明するよりも、実際の働く場面に分けて整理します。たとえば「口頭の指示が重なると内容を取り違えやすい」「予定変更が急だと優先順位をつけにくい」といった状況を記録し、仕事にどのような影響が出やすいか、自分ではどのような工夫をしているかを続けて書きます。体験に基づく記載にすると、必要な相談が明確になります。

3. 希望する配慮は業務との関係を添える

希望する配慮は、「何をしてほしいか」だけではなく、「どの業務で」「なぜ役立つか」「本人は何を工夫するか」を一緒に整理します。たとえば、指示を文字でも確認できると作業の正確性を保ちやすい、休憩の取り方を相談できると体調を整えながら勤務を続けやすい、という形です。実現できるかは職務、職場、設備、勤務体制により異なるため、要望を断定せず、相談したい事項としてまとめます。

4. 支援者と確認し、事実と希望を分けて整える

書いた内容は、一人で完成させる必要はありません。ハローワーク、就労移行支援事業所、地域障害者職業センターなどの支援機関に相談し、内容が具体的か、応募職種と関係するか、共有範囲は適切かを確認します。事実として説明できる経験と、これから相談したい希望を分けておくと、面接や職場実習で対話しやすくなります。

整理する項目書くときの視点確認したいこと
強み・アピールポイント得意な作業と、力を発揮しやすい条件応募職種の業務と結び付くか
困りやすい場面起こりやすい状況と、業務への影響障害名だけの説明になっていないか
本人の工夫確認方法、体調管理、優先順位の付け方すでにできている対応を示せているか
相談したい支援業務を進めるうえで必要な方法・環境職場で個別に確認すべき事項か

面接・職場実習で活用するときの確認点

応募書類を置き換えず、必要な項目を選ぶ

就労パスポートを作成したからといって、履歴書や職務経歴書が不要になるわけではありません。応募書類では職務経験と志望理由を伝え、就労パスポートでは、業務を行ううえでの特徴や相談したい支援を補う、という役割分担が分かりやすいでしょう。面接では、全体を渡す前に、企業側が確認したいことと自分が伝えたいことを整理します。

共有後の対話で求人との適合を確かめる

企業へ共有する場合は、記載内容を一方的に伝えて終わりにせず、今回の求人の業務、配属先、勤務時間、指示の受け方などで実際に相談できるかを確かめます。職場実習では、事前に考えた工夫が役立ったか、別の方法が必要だったかを振り返ることができます。厚生労働省も、実習や就職後の体験を踏まえて内容を更新する流れを案内しています。

作成後も経験に合わせて更新する

就労パスポートは、一度書いたら終わりではありません。応募、実習、訓練、就職後の経験を通じて、新たに分かった強みや、見直したい工夫があれば更新します。以前は必要だった支援が不要になることも、別の場面で新しい相談が必要になることもあります。変化を記録しておくと、転職活動や職場での対話を、自分の現在の状況に合わせやすくなります。

まとめ|自分に合う働き方を対話につなげるためのツール

就労パスポートは、障害者転職において、自分の特徴、強み、困りやすい場面、希望する配慮を整理するためのツールです。必須の応募書類ではないため、本人が目的と共有範囲を決め、支援機関と相談しながら活用できます。履歴書・職務経歴書と役割を分け、応募職種との関係を具体的に整理しておくことで、面接、職場実習、就職後の対話につなげやすくなります。

参考情報

  1. 厚生労働省:就労パスポート
  2. 東京労働局:就労パスポートの活用について
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

当メディアは、障がいを持つライターたちが自ら発信する、障がい者のための転職・就労支援情報メディアです。現役の就労継続支援B型事業所「いろとりどり」が福祉の現場視点から、信頼できる正確な就労ノウハウやリアルな体験談をお届けしています。

📍 住所:〒230-0001 神奈川県横浜市鶴見区矢向3丁目15−11 五月建設ビル 3F

関連記事