聴覚障害のある方が会議で相談できる配慮とは?会議前・中・後の工夫を解説

絶対に読むべき必読記事

職場の会議は、業務方針や担当者、期限、役割分担などを決める大切な場です。聴覚障害や難聴がある方にとって、複数の人が同時に話す、発言者の顔が見えない、資料を見ながら早口で説明されるといった状況では、内容を十分に受け取りにくいことがあります。

会議で必要なのは、単に「音を大きくする」ことだけではありません。会議の前に資料を確認できること、会議中に発言や決定事項を把握できること、会議後に内容を振り返れることまで含めて、情報を受け取れる環境を整えることが重要です。この記事では、聴覚障害のある方が職場の会議で相談できる配慮を、会議前・会議中・会議後の3段階に分けて解説します。

聴覚障害がある方にとって会議が負担になりやすい理由

会議では、音声以外にも多くの情報が同時にやり取りされます。資料の画面共有、参加者の表情、発言の順番、メモ、チャットなどが重なるため、聞こえ方に関係なく集中力を必要とする場面です。聴覚障害や難聴がある場合は、会話を聞き取ることに意識を向けるほど、資料の確認や発言内容の整理が難しくなることがあります。

特に、話す人が頻繁に変わる会議、複数人が同時に発言する会議、専門用語が多い会議、オンライン会議で音声が途切れる場面などでは、情報の一部を受け取りにくくなりがちです。分からないまま会議が進むと、後から担当業務や期限を確認しにくくなり、仕事上の不安にもつながります。

JEEDが紹介する聴覚障害者の合理的配慮事例では、全体会議やチームミーティングにおいて、事前の資料準備、筆談、手話などを活用する取組が紹介されています。[1] これは一つの職場の事例ですが、会議への参加を「聞こえるかどうか」だけでなく、必要な情報を受け取り、意見を伝えられるかという視点で考える参考になります。

会議前に相談できる配慮

会議が始まる前の準備は、内容を理解するための大切な時間です。資料や目的を事前に確認できると、会議中は聞き取りにくい部分があっても、話の流れを追いやすくなります。

会議前に相談できること具体的な工夫の例確認する目的
議題・目的の共有会議の目的、話し合う項目、決めることを事前に知らせる会議の全体像をつかむ
資料の事前共有スライド、報告書、用語集、前回の議事録を事前に受け取る資料を読んで内容を予習する
参加方法の確認対面・オンライン、席の位置、カメラの使用、画面共有の方法見やすく、文字情報を確認しやすい環境を整える
情報保障の方法文字起こし、チャット、筆談、要約筆記、手話通訳など会議中に必要な情報を受け取れるようにする

資料は、会議の直前ではなく、できるだけ余裕を持って共有してもらえると確認しやすくなります。専門用語や略語が多い場合は、意味を事前に質問しておくと、会議中の理解につながります。また、資料だけで分かりにくい点は、会議の前に短時間の説明をお願いする方法もあります。

会議中に相談できる配慮

会議中の配慮は、発言の内容を把握することと、自分も意見を伝えられることの両方が大切です。全ての方法を使う必要はありません。自分が参加しやすい方法を、会議の規模や内容に合わせて相談しましょう。

  • 発言者を分かりやすくする:一人ずつ話す、発言前に名前を名乗る、オンライン会議ではカメラをオンにするなどの工夫です。
  • 席・画面の位置を調整する:話す人の顔、手話通訳、要約筆記、画面共有を見やすい位置に座れるようにします。
  • 文字情報を併用する:リアルタイム文字起こし、チャット、筆談などで、発言や質問を文字でも確認します。
  • 資料のページを明確にする:「資料の3ページです」のように、今どの資料を説明しているかを示してもらいます。
  • 確認の時間をつくる:話題が変わる前や決定前に、理解できているか質問・確認する時間を設けます。

文字起こしやチャットを使う場合は、誤変換や発言の取り違えが起きることもあります。重要な内容は「担当者は誰か」「期限はいつか」「何が決まったか」を最後に確認する習慣をつくると安心です。会議の進行役が、要点を短くまとめながら進めるだけでも、参加しやすさが変わる場合があります。

会議後に確認したい配慮

会議は終わった後の確認も重要です。会議中にすべての発言を把握できなくても、決定事項や自分の担当業務を正確に確認できれば、次の行動につなげやすくなります。

会議後には、議事録や要点、決定事項、担当者、期限を共有してもらえるか確認しましょう。正式な議事録がすぐに作られない場合でも、チャットやメールで「本日の決定事項」「次回までの担当」を簡潔に共有してもらう方法があります。自分の理解に不安がある時は、「私の担当は○○で、期限は○日という認識で合っていますか」と確認することも大切です。

会議後に質問しやすい相談先を決めておくことも役立ちます。直属の上司、会議の進行役、同じチームの同僚など、会議内容を確認できる人を把握しておくと、聞き取れなかった部分を一人で抱え込まずに済みます。

自分に合う方法を整理するチェックリスト

会議の配慮を相談する前に、次の項目を確認してみましょう。

  • どの種類の会議で最も困るか。朝礼、定例会議、少人数の打合せ、オンライン会議、研修などに分けて考える。
  • 会議の前に何があれば理解しやすいか。議題、資料、専門用語、前回の議事録などを整理する。
  • 会議中は何が必要か。発言者の顔、文字情報、筆談、チャット、手話、要約筆記などを考える。
  • 会議後に何を確認したいか。決定事項、担当者、期限、次回までの準備を明確にする。
  • 情報を共有する際に、会社のツールやルールで確認すべきことはあるか。記録の保存先や機密情報の扱いも確認する。

すべてを一度に整えようとせず、最も困る会議から一つずつ相談することをおすすめします。例えば、毎週のチーム会議でまず資料の事前共有と決定事項のチャット共有を試し、必要に応じて文字起こしや支援方法を追加する進め方があります。

会社への伝え方・質問例

「会議の内容を正確に把握して業務に反映したいため、参加方法について相談させてください。事前に資料と議題を確認できると、会議中の説明を理解しやすくなります。共有は可能でしょうか。」

「複数人が同時に話すと内容を追いにくいことがあります。会議中は一人ずつ発言していただき、決定事項はチャットでも確認できるようにしていただくことは可能でしょうか。」

「会議で聞き取れなかった部分を後から確認したいです。議事録の共有先や、質問できる担当者を教えていただけますか。」

相談する際は、「会議に参加できない」と伝えるのではなく、「この方法なら内容を理解し、意見も伝えやすくなります」と、仕事に参加するための具体的な方法として話すと、建設的な対話につながりやすくなります。

まとめ:会議の前・中・後で情報を受け取れる環境を整えよう

聴覚障害のある方が会議に参加するためには、会議中の文字情報だけでなく、資料の事前共有、話し方や席の工夫、会議後の決定事項の確認までを含めて考えることが大切です。自分に合う方法は、聴こえ方や会議の種類、業務内容によって異なります。

まずは、どの会議で何に困るのかを整理し、必要な情報をどのように受け取りたいかを職場へ相談しましょう。本人と会社が話し合い、試しながら方法を調整することで、会議への参加と業務の進めやすさにつながります。

参考文献

  1. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「聴覚障害者の事務職における合理的配慮事例」
  2. 厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」
いろとりどり編集部

この記事の監修・運営

就労継続支援B型 いろとりどり編集部

当メディアは、障がいを持つライターたちが自ら発信する、障がい者のための転職・就労支援情報メディアです。現役の就労継続支援B型事業所「いろとりどり」が福祉の現場視点から、信頼できる正確な就労ノウハウやリアルな体験談をお届けしています。

📍 住所:〒230-0001 神奈川県横浜市鶴見区矢向3丁目15−11 五月建設ビル 3F

関連記事